五反田ラバー Vol.7

五反田とか、ウソでしょ?(笑)。鼻で笑う彼女を、五反田が誇るテラス席デートへ

五反田に、港区女子現る


週末の午後、章吾は若菜を五反田に呼びだすことに成功した。

五反田に現れた若菜は、周りをキョロキョロ見回しながら不安げな表情を浮かべている。温かそうなファーが付いたキャメルのコートを着て、キラキラ輝くオーラを放つ若菜がついに、五反田に舞い降りたのだ。

駅の東口で会い、向かったのはそこから数メートルの『築地銀だこ ハイボール横丁』。ハイボールを飲みながら銀だこが楽しめる店だ。平日の夕方は、五反田で働くサラリーマンがサクッと1~2杯飲むのに重宝するような店。

「え、ここ?」

若菜が驚くのも無理はない。店内には簡易的な折りたたみのテーブルと椅子が用意されているが、ほとんど立ち飲みのようなスタイル。

若菜のような港区女子を、初めてのデートで連れていく店でないことは、章吾だって十分わかっている。

驚く若菜のことは気にせず、章吾は店の階段を上ってどんどん奥に入って行く。

「ここのテラス席が特におすすめなんだ」
「え、テラス席って……?」

若菜のような女性は、テラス席といえば『オークドア』『シカダ』を思い浮かべるのだろうが、五反田のテラス席といえば、ここだ。


駅前で人通りが多く、プールなんてもちろんないし、癒しのグリーンだってない。頭上を山手線が走り、視界の端では赤と白の提灯がゆらゆら揺れている。さらにテラス席には折りたたみの椅子さえない。

だがそれが、五反田だ。ここにはアツアツのタコ焼きとキンキンに冷えたハイボールがある。

......


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