五反田ラバー Vol.7

五反田とか、ウソでしょ?(笑)。鼻で笑う彼女を、五反田が誇るテラス席デートへ

加代が決めたのは、西五反田6丁目のマンション。健太の住む、西五反田5丁目から歩いて5分ほどの場所だ。

広めの1Kで、家賃は9万円。加代は、今までと同じ家賃で部屋のグレードが上がったと大いに喜んでいた。

彼女が引っ越してきた最初の夜は、段ボールも片付けずに、ささやかな引っ越し祝いをすることにした。


場所は、加代が前から行きたいと言っていた『庭つ鶏』。串に刺さない焼き鳥の店で、名物の「皮パリもも焼き」目当てに行ったのだ。

五反田は鳥料理の名店が多く、『鳥料理 それがし』『焼き鳥 歩ム』『炭火焼 よし鳥』『ぎたろう軍鶏 炭火焼鳥 たかはし』などもあり、お店選びにはいつも迷ってしまうものだ。

晴れて五反田ラバーとなった加代は、もちろん五反田会のメンバーにもなり、さっそく章吾も呼んで会わせることにした。すると、章吾から意外な相談を持ちかけられた。

「加代ちゃん、女性の意見を聞かせてよ」

そう言って話しはじめたのは、章吾が最近知り合ったという女性・若菜のことだった。若菜は、西麻布での食事会で知り合った、港区感溢れる女性らしい。胸まである美しい髪を、何度も右へ左へかき上げていたそうだ。

パチリと大きな目に、触れると弾かれそうなほどぷるると潤う唇が魅力的だった、と章吾は熱く語る。

ただ、以前の食事会でも同様のことがあったが、自己紹介で「五反田に住んでます」と言うと案の定、女性たちには鼻で笑われたそうだ。

「いいんだよ、どうせ馬鹿にされるんだろうなと予想はしてたから。でもみんな五反田に来たこともないのに、イメージだけで馬鹿にするんだよな。それが納得いかない」

章吾は中目黒から五反田に引っ越してきた男だが、引っ越して以来女性たちから受ける、根拠のない“五反田バッシング”に業を煮やしていたらしい。

食事会にいた女性の中で1番可愛かったが、「五反田に住むとか、ウソでしょ?(笑)」と、1番馬鹿にしていたのが若菜。彼女に、五反田の良さを知らしめたいと息巻いてるのだ。

ついに本気を出すことにしたらしい章吾。もともと彼は175cmの身長と、ジュノンボーイにいそうな整った顔の持ち主だ。加えて喋りもなかなか上手い。

章吾の全力のプレゼンが実を結び、食事会が終る頃には若菜も章吾に興味を持ち、五反田でのデートの約束を取り付けたのだと、健太と加代に意気揚々と報告した。

「そこで加代ちゃん、五反田のデートプランについて相談したいんだ」

章吾は真剣な目で加代を見た。加代も、引っ越して早々こんな相談を受けるとも思わなかったが、すでに五反田会の一員としての自覚が芽生えている。

こうして、パリパリに焼かれた鶏肉を前に、三人は真剣にプランを考えることになったのだった。

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