
靴と東京と私:ルブタンのレッドソールに宿るプライド。女の裏切りはいつの日も突然…
女のプライドを掛けた仁義なき戦い
二日酔いの頭を抱えてPCに向かいながら、昨日の美奈子の話を思い返す。仲良しの同期だと思っていたが、違ったらしい。いつの間にか、自分を踏み台にして、飛躍の時を虎視眈眈と狙っていたのだ。
「今日もそんな化粧っけのない顔して。だから沙織さんは老けて見られるのよ。」
わざわざデスクにやって来て、人の心の傷口に塩を塗るような愛子の発言に、更に頭が痛くなる。しかし愛子は何かを察していたようだった。
「自分のキャリアのために、人のことを蹴落としてでも上に行くのが女でしょ?」
本当にその通りだ...美奈子が悪いわけではない。
甘えていた自分が悪いのだ。
皆、自分の足で歩いている。しっかりと将来を見据えて、儚いながらも華奢なヒールで、時に人を蹴落としながらも上を目指して進んでいる。
「すみません、ちょっと抜けます!」
そのまま会社を飛び出し、クリスチャン ルブタンのお店へ走った。
◆
—1ヶ月後。
ピンヒールの踵を鳴らしながら、大股で表参道を走っていた。
前の私だったら、楽なフラットシューズを選んでいた。でも、今の私はもう楽な方に逃げたりしない。
ピンヒールだとこの上なく走りにくい。派手に転ぶ可能性も高まる。それでも、このクリスチャン ルブタンの9cmピンヒールで東京の街を走り抜けたかった。
仕事をしていれば楽しいことばかりではない。でも敢えて茨の道を選び、嫌なことを蹴散らすくらいの力をこの靴は与えてくれる気がする。
—ライバルは誰でもない、自分。
東京の空を見上げながら大きく頷き、黄色のルブタンと共に階段を駆け上がった。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
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