Age,32 年収上がらなくて。 Vol.2

Age32,年収上がらなくて。:課長になったら年収下がる?ホワイト企業のブラックな真実

コンサルタントがまさかの年下。本心が言いづらい…(泣)


「本日は、お休みのところすみません。」

そう切り出した男の名刺には、「キャリアナビ 福田蒼汰」と書いてある。清涼飲料水のCMにでも出てきそうな、爽やかな笑顔だ。年齢は、26、7歳だろうか。年上の男性を想像していたので、少し拍子抜けしてしまった。

若い男を目の前に、32歳という自分の年齢を改めて実感した。「35歳転職限界説」という話を聞いたことがある。本当に転職できるのだろうか。一気に不安が押し寄せた。

福田蒼汰は軽い雑談で緊張をほぐし、システムの簡単な説明をした。その後、webで提出していた職務経歴書を見ながら、改めて聞いてきた。


「中田さんが転職したいと思ったのは、何がきっかけですか?」

―年収上げたくて!!

…とは、言えなかった。

「そうですね、現状でも充分満足しているのですが、もう10年同じ会社にいるので、このままでは自分の成長が止まってしまうのではないかと思って。」

現状に充分満足、自分の成長。出てきた言葉は、本心ではない。

そう言ってしまったのは、「現状に不満があるという理由で転職を考えるべきではない」と、webの記事や転職の指南本で散々目にしてきたからだ。

「そうですか。普通は、今いる会社に不満を持って転職を考えられる方がほとんどです。中田さんのようなしっかりした方は、稀ですよ。」

―俺もそうなんだ!本心は違う!!

そんな心の叫びとは裏腹に、「ありがとうございます」と、何とか笑顔を取り繕った。

「中田さんの現状だと、今より年収がいい企業はなかなか…。でも、成長したいという軸ならば、選択肢は沢山あると思います!」

福田蒼汰は「頑張っていきましょう!よろしくお願いします!」と、これ以上にないくらいの爽やかさで微笑んだ。

その後、福田蒼汰がピックアップしてきたいくつかの会社の説明とヒアリングを受け、2時間ほどで面談は終了した。

―何だかなぁ…。

やり切れない気持ちで、「キャリアナビ」のオフィスを出た。



日本橋に来たのは久しぶりだった。土曜日なので、ビジネスマンの姿は少なく、観光客や家族連れの方が多いくらいだ。

東京駅まで歩こうと中央通りを進んだ時、見覚えのある顔を発見した。

「オサム!」

高校時代の友人、オサムだった。土曜日だというのにスーツ姿だ。

「オサム、仕事中?」
「いや、違うよ。今転職活動中で、面接だったんだよ。」

―もしや、仲間!?これはいい話が聞けるかも…!

オサムは、高校時代からずば抜けて頭が良く、全国模試は常に一桁代の順位。現役であっさり東大に合格した。数学がめっきり駄目だった俺は、分からないところをよく教えてもらっていた。

「実は、俺も転職考えてるんだよ。オサム、この後時間ある?ちょっと、話そうぜ。」

するとオサムが「ここから少し歩くけど、お気に入りのワインバーがある」と言ったので、ついて行くことにした。

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