チヤホヤされたい東京妻 Vol.5

耐え忍ぶ妻、遥か過去の如し。与えてもらうのが当然。いつまでもチヤホヤされたい妻たち

だから男女はすれ違う?夫側の隠された本音とは


結婚12年目にして、既に子供が3人いるという渡辺は、その場の年長者らしい落ち着きを持って語り始めた。

「別にね、妻を避けようとか、そんなつもりはないんだよ。ただ、何となくもう家族になり過ぎちゃったというかさ…なぁ」

周囲の同意を得るように言葉を選ぶ。マキコの後輩の久保田は、29歳にしてバツイチであり、ウンウンと訳知り顔で頷いている。もう1人、中野という商社勤めの男は、新婚だというのに頷きながら続けた。

「俺は結婚して気付いたんですよね。女っていうのは、褒めてくれ、察してくれ、話を聞いてくれって、求めてばかり。やって貰って当たり前だと思ってる。だから外に目が向いちゃうというか、息抜きしたくなって…」

「それに、男が傷つくこと、平気で言いますよね?」

久保田も更に実感のこもった言葉を重ね、男性陣は奇妙な連帯感を持ち始めた。

だが、遥は男達のこんな言い訳を聞くのが心底面白かった。夫や恋人といった男達が、絶対に自分には語らないような本音をこうして気楽に聞けるのも、遥が食事会が楽しむ理由の一つだ。

一方で、何を言ってるのだ、とも思う。家族になり過ぎてしまったのなら、外に目を向けず、妻と話し合えば良いではないか。

それに息抜きなら、何か趣味を見つければいいのに…と、自分も既婚者の身で食事会に来ていることを忘れていた遥は、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。


「じゃあ、皆さんは家庭で壊れた男としてのプライドを、外で回復させたいってこと?」

亜希は透き通る様な白い肌と上品な顔立ちで、初対面の男性ウケはすこぶる良い。ただ、一度喋り出すと外見とのギャップに面食らう男性も多く、露骨に嫌な顔をする男性もいた。

「妻から何を言われたら傷つくんですか?稼ぎについてとか?」

久保田が、若さ特有の反射神経の良さでムッとした表情を浮かべる。彼は誰もが知っている大手メーカーに勤めていると言っていたが、俺はまだまだこんなところでは終らない、という勤め人独特のくすぶりが本人の中にもあるのだろう。みるみる機嫌が悪くなってしまった。

亜希は学習院大学を卒業後、親の決めた相手と見合い結婚をした今時珍しいタイプで、世間知らずの程も半端なものではない。結局食事会はあまり盛り上がらず、おまけに代金もしっかり3,000円徴収されてしまい、お開きとなった。

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