離婚した今、幸夫からの誘いを断る理由なんてない。早速、返信しようとすると、またスマホが鳴った。見るとメールが届いており、相手は親しくしている取引先のバツイチ男性。彼からも食事の誘いがきた。
「え、二人で?!」
思わず声に出した。今まで何かの区切りに数人で飲みに行くことはあったが、二人で行くことはなかったため、あゆみは戸惑った。
―どうしようかな……?
考えていると、今度は電話の着信がきた。相手は地元の同級生で、中学の頃両想いだったが特に何も発展することなく終わった桜井くんだ。それは間違いではないかと思うくらい、久しぶりで突然の出来事。
―なんだろう……?!
あゆみは首を捻りながら、恐る恐る電話にでた。
「もしもし?」
「あゆみー?突然ごめん、電話番号しかわからなかったから、こんな夜に申し訳ない!実は東京に1ヵ月の長期出張になってさ。時間あればご飯に行けたらなと思って」
―うわ、桜井くんの声だ……!
記憶の奥底に閉まっていた、中学時代の甘酸っぱい思い出が一気に部屋中に広がった。青春時代の思い出は、一瞬にしてにその時まで気持ちを引き戻してくれるから不思議なものだ。
電話口でひとしきり懐かしむと、ひとまずメールで連絡を取り合うことにして通話を終えた。そうして彼の声の余韻に浸っていると、またスマホが鳴った。
―桜井くん?早い!
だが、スマホに表示されているのは他の男友達の名前で、やはり食事の誘いだった。
―あれ、なんか私、モテてない……?
頭に浮かんだ思いを、すぐに打ち消し自分を戒める。
―そんなわけないじゃん!バツイチなんだから、私。
脳内で、モテるモテない合戦を繰り広げていると、さらにスマホが震えた。相手はしばらく疎遠になっていた飲み友達の男性だ。彼からの連絡も、やはり食事の誘いだった。
突然鳴りやまなくなったスマホを片手に、あゆみは何が起こっているのか分からなかった。だが、何かが始まりそうな予感だけはあった。それが何なのか、あゆみが知るのはまだしばらく後の事だ。
こうして、あゆみの薔薇色のバツイチ生活が華麗に、勢いよく幕を開けたのだった。
次回12月25日(日)配信予定
バツイチ男性とのデート。あゆみは、自分の価値を知らされる!
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この記事へのコメント
30過ぎて離婚した時はもう2度と結婚できないだろうと、死ぬかくらいの落ち込みでしたが、絶え間無くできる彼氏のおかげでなんとか立ち直れました。