2016.12.02
2000年代初頭のBSE問題により、長らく輸入が禁じられていた欧州産の牛肉。かつて味わったことのある人々が恋い焦がれていた味が、2013年の「フランス産牛肉(30月齢以下)および牛肉製品の輸入再開」を皮切りに、続々再上陸!
正直、まだまだ街のカジュアルな店で気軽にヨーロッパの牛肉を、というレベルではないが、フランス産牛肉に関しては、当初と比べて扱い高が飛躍的に増えている。
フランスは、ヨーロッパでもNo.1の牛肉産出国。長い肉食の歴史が培った香り豊かな赤身肉、体験しない手はない!
熟練の技が引き出す“低脂肪”バザス牛の味
『CHICCIANO』
「スペシャリータ・ディ・カルネ(=肉のスペシャリスト)」を謳い、生ハムの盛り合わせから始まる肉尽くしのコースを供するこちらの看板料理は、メインのドライエイジングビーフ。熟成庫には国内外のさまざまな銘柄牛の塊肉が並ぶが、常連の間で人気急上昇中なのが今年メニューに仲間入りしたバザス牛だ。
いわばフランス版神戸牛的なこの銘柄牛は、脂肪分がトリの胸肉ほどしかない“ザ・赤身”。生粋の肉ラバーの山縣 類シェフによると「バザス牛の魅力は、上品で繊細な深い味わい。ただし、焼き上がりがレアだと旨みがきちんと出切らない」のだとか。
そんなバザス牛のメニューは、現在2種類。ひとつは80日前後熟成させた分厚い骨付きリブロースを、表面は香ばしく、中はしっとりと焼き上げたステーキで、もうひとつは約1ヵ月熟成のイチボの蒸し焼き。お好みの調理法を選んだらキメ細かな肉を噛み締め、その旨みと香りを堪能されたい。
※こちらの店舗は現在閉店しております。
どこまでも優しく柔らかく、欧州牛を日本的解釈で提案
『VIANDO』
見よ! この艶やかな断面を。いかにも女性的なルックス通り、食べればその繊細な味わいにグッと心を掴まれる。フランス・ラングドック地方で育つフルール・ド・オーブラックは、年間生産頭数1,250頭ほどの希少牛。この牛に惚れ込むのがシェフの前川泰輝氏だ。
『加藤牛肉店 シブツウ』などの有名店で一貫して肉に関わった経歴を持ち、「肉が好きで仕方ない」と語る前川氏曰く、いくら食べても疲れない優しい味こそ、フルール・ド・オーブラック最大の魅力。愛してやまないこの牛のため、焼き方も独自の方法を編み出した。
ミルキーな香りに合わせ、油は澄ましバターを使用。肉の表面は高温で焼き固めず、短時間で火入れを行うことで、驚くほど柔らかく仕上げている。「日本人なら、このあっさりした味と和牛に負けない柔らかさが好きなはず。気軽に楽しんでほしくて、お箸で食べてもらっています」。これぞ、日本人による、日本人のための欧州牛!
この記事で紹介したお店
キッチャーノ
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