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  • グローバルエリート大輔 Vol.4

    グローバルエリート大輔 最終回:逆転の発想で得た成功。反目し合う男たちに芽生えた真の信頼関係とは

    「今って、有名人が着てるから好きとか、そういう時代じゃないんじゃないかな」

    「え、どういう意味ですか?」

    「いや……。ごめん、気にしないでくれ。忙しい所引きとめてしまってごめんな」

    それだけ言うと、有田の方が先にラウンジを出て行った。

    それからの数日間、何をしていても有田の言葉が引っ掛かった。必死に他のタレントを探しているのに、それをまるで意味のない事のように言われた気がして大輔は腹を立てた。

    ―適当なことを言いやがって……!そんなワケないだろ。

    心の中で何度も悪態をついた。だがある時から、ひとつの仮説が大輔の頭を占領するようになった。

    ―そもそも俺は、なんであの若手アーティストを起用したんだ?
    ―今までの慣習で、有名人を使えばいいと考えていただけ?
    ―それってただの思考停止じゃないか?

    いくつもの点が繋がって線になるように、湧きあがってきた疑問が確信へと変わっていった。

    CMであえてタレントや有名人を起用せず、一般の人たちが自分の一番好きなコーディネートでファッションを楽しんでいる日常を切り取ることで、“自分のスタイルを持つ”という提案をすることに決めたのだ。

    回り出した歯車。加速させたのは、他でもないあの男


    ファッションの提案ではなく、ライフスタイルを選ぶ事を提案する。そう決めてからはまた、モーレツに仕事をこなす日々が始まった。

    「有名人は起用しない」という提案はマネージャーを始め、アメリカ本社の役員たちを説得するのにかなりの労力を要した。だが、困難な局面を一番サポートしてくれたのは、他でもない有田だった。

    有田は、それまで参画していたプロジェクトが終わったタイミングで、大輔のチームに入ることを志願したのだ。

    「何か魂胆があるのでは」と最初は疑った大輔だが、今回の方向転換のきっかけをくれたのは有田だ。それに、多忙を極めて猫の手も借りたいほど目まぐるしく仕事をこなす中で、選り好みをしている余裕なんてないというのが正直なところだった。

    だが有田は、大輔の予想以上のパフォーマンスを見せた。本社との度重なるハードなやり取りや、被写体となる一般の人たちを探すことまで、煩雑な作業も率先して引き受けてくれたのだ。


    男たちの前に現れた、さらなる高み


    数ヵ月後、『B&AP』のCMは大きな話題となった。

    名もなき人々が思い思いのファッションに身を包み、カメラに向かって楽しそうに笑う姿。音楽は使わず、出演者たちにアカペラで同じ曲を歌って貰い、その歌をリレーのように繋げた。

    このCMのお陰で問い合わせが殺到し、商品は飛ぶように売れた。「日本での認知度を上げよ」というミッションはひとまずクリアしたことに、大輔は大きく胸を撫で下ろした。

    最初に決めた通り、恋人のナオミにプロポーズもした。返事はもちろんOKで、全てが順風満帆だった。そんな中、店舗視察の帰りに、有田とカフェでお茶を飲んでいると神妙な面持ちで切り出された。

    「なあ、大輔。俺、会社辞めようと思うんだ」

    「え、どうしたんですか?」

    「俺、お前に最低なことしただろ?社会人としても、人間としても最低の事。俺、心底自分を軽蔑したよ。本当はあの時すぐに会社を辞めようと思ってた。でもせめて、少しでも罪を償えればと思って、チームに入れてもらった。その時から決めてたんだ。大輔のために出来る限りの事を尽くして、プロジェクトが終わったら辞めようって」

    「待ってください、辞めてしまってこの先どうするんですか?」

    「それは、これから考えるよ」

    有田は力なく言うだけだった。その姿を見て大輔は考える間もなく言った。

    「いや、残ってください。有田さんが辞めてしまうのは会社にとっても大きな損失です。だから辞めないでください」

    大輔は説得するが、有田は「それじゃあ大輔に申し訳ないから」と繰り返すばかりだった。そこで大輔はひとつのことを提案した。

    「じゃあ、本当にそう思っているのなら、僕の部下として会社に残ってください」

    大輔が言うと、有田は右の眉をぴくりと動かし大輔の顔を見つめた。



    大輔は、プロジェクト成功の余韻に浸る暇もなく新たなプロジェクトを任されることになった。今度は、アジア全体で展開されるプロモーションの戦略だ。サブリーダーは有田。今では二人は社内でも有名な強力タッグとなったのだ。

    「有田さん、今回もよろしくお願いしますね」

    「はい、かなり手強いと思いますがやるしかありませんよね、大輔さん」

    「心強い答えだなあ。でも卑怯な手はやめてくれよな?」

    大輔は有田の横顔を見ながらニヤリと言った。そんな冗談も言える程、二人の間には厚い信頼関係が結ばれているのだ。

    ―今回のプロジェクトは、前回よりハードになることは確実。また頭痛に悩まされる日々が始まるんだろうな……。


    思い返せば、自分一人で解決できることなんて少ないものだ。仕事で壁にぶつかればチームの皆に助けられ、頭が痛くなれば鎮痛薬『バイエルアスピリン』に助けられてきた。

    自分の力を過信せず、頼れるものを上手く頼ってひとつずつ解決していけば、きっと道は開かれる。そうして世界で活躍し、世界から認められる真のグローバルエリートになれるのだという、揺るぎない思いがある。

    その思いを胸に大輔は、新たな気持ちで前だけを見て、再び歩き出すのだった。

    (fin)

    バイエルアスピリンの詳細はコチラ

    L.JP.MKT.CH.11.2016.0108

    ■衣装協力:大輔/ネイビージャガードジャケット¥28,000 ネイビージャガードジレ¥11,000 白×グレーストライプシャツ¥11,000 グレーグレンチェックパンツ¥5,900 グレーレジメンタイ¥5,900 グレーペイズリーチーフ¥4,900(すべてクラウデッドクローゼット/クラウデッドクローゼット 越谷レイクタウン店048-930-7224)ベルト<スタイリスト私物>
    有田/赤×グレータータンチェックジャケット¥29,000 サックス千鳥シャツ¥4,900
    キャメルコーデュロイパンツ¥9,800 ネイビーペイズリータイ¥5,900クラウデッドクローゼット/クラウデッドクローゼット 越谷レイクタウン店048-930-7224)ベルト<スタイリスト私物>

    バイエルアスピリン_4PC

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