2016.10.11
慶應内格差 Vol.1慶應義塾大学内には、他大学からは決して窺い知れない“格差”がある。それは、大学入学に至るまで、どのような経路を辿ってきたかという格差だ。
比率的には、大学受験を経て入学した「外部生」が圧倒的に多いが、貴族的な小学校といわれる「幼稚舎」から、中学は男子校の「普通部」と共学の「中等部」、「SFC」がある。
高校は男子校である「慶應義塾高」、埼玉にある「志木高」、女子校である「慶應義塾女子」、共学である「SFC」、そして「NY高」と高校の内部生は5つに出自が分かれる。
十把一絡げに慶應とは言い切れないもやもやを慶應生は大学時代から抱え、社会へ旅立っていく。そんな“慶應内格差”をお届けしよう。
慶應義塾女子校出身・外銀トップセールスの沙羅から見た外部生
夏も終わりかけ、少し肌寒くなってきた9月。沙羅は親友の早希子と栞と軽井沢へ出かけた。早希子の別荘があり、気軽に週末を過ごしに行く場所となっている。
3人が出会ったのは慶應義塾女子高校。大学のキャンパスと同じ三田にあるのだが、知らない人も多い。慶應義塾大学附属の女子高だ。慶應で「女子高」といえば、この高校。
早希子は幼稚舎出身、お父様は誰もが知る大企業の社長というお嬢様。家は松濤にある。
栞は中等部出身、可愛いルックスと、裏腹な芯の強さで、キー局のアナウンサー試験をパスした。
そして沙羅は、高校受験最難関といわれる女子高から入った。その優秀さを見込まれ、外銀に入社。すぐさまトップセールスに。
いわゆる「慶應内部生」の3人。昔から3人で行動し、10年来の親友。知性・家柄・ルックス、3人はそれぞれにないものを持ち、27歳という花盛りを謳歌。社会人になってからは活動拠点を六本木に移し、3S(トリプルエス:サキコ、シオリ、サラの頭文字を取ったもの)という名で、巷では少し有名な3人組となっていた。
軽井沢のレストランにも精通してきた3人が今回選んだのは『ピレネー』。釜で焼くステーキが売りのお店でランチには地元の新鮮な野菜をふんだんに使った前菜ビュッフェが付いてくる。写真栄えする色とりどりの前菜を前に沙羅はいつものようにインスタグラムに写真を投稿。
すると反応があったのは、意外にも大学3年生の時に沙羅が好意を持っていたあの彼からだった。
ー俺も来週軽井沢行くんだよね。いろいろ教えて!ー
長身でスタイルはいいけど、お人好しで顔は決してカッコ良くない。埼玉の県立高校から慶應の経済学部に入学。『外部生』原田くんの、その控えめな真面目さに沙羅は惹かれていた。
沙羅はこれまでホテル会社の御曹司や体育会ホッケー部キャプテンなど、学内でも有名な内部の男の子ばかりと遊んでいた。ただ、原田くんはそんな彼らとは違う、良くも悪くも普通の男の子だった。
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