秘書の秘め事 Vol.2

秘書の秘め事:縮まないイケメン上司との距離。秘書なのに、どうして?

上司とのオシャレランチに浮かれるミドリ。しかし...?


上司との初めての丸の内ランチ。

オフィス街はランチに出かけるスーツ姿の男女で溢れ、ミドリは改めて「丸の内OL」となった実感を抱き、浮かれていた。しかも隣を歩く村上は、周囲のOLたちが振り返るほどのイイ男なのだ。

ミドリは、男の扱いにはそれなりに自信があった。

学生時代は流行りのプロ女子大生と言えるくらい、年上のエリートサラリーマンや経営者ともよく遊んだし、販売員時代はミドリ目当てに大金を落としてくれる金持ちの男性顧客だっていた。

それなりの経歴と外見を持った女を、男たちは決して無下には扱わないのをミドリは知っていたし、自分の愛嬌の良さは万人ウケするはずだった。

「私、この会社に転職できて本当に嬉しいです。村上さんのメールボックスは一応確認してるんですけど、何かもっとして欲しい仕事とかあれば、ぜひ教えてください!」

ミドリは、誰からも褒められる営業スマイルを惜しみなく浮かべ、村上と積極的に会話を試みた。業界の人間なら誰もが憧れる村上とは仲良くなりたいし、その方が仕事だってスムーズなはずだ。

「うーん、そうだね...。まぁ、僕は今走ってるプロジェクトであまり社内にはいないし、とりあえず今は会社に慣れてくれたらいいよ。」

しかし、ミドリの意に反して、村上の反応は何故か薄い。

プライベートな会話も突いてみたが、なかなか距離が縮まる気配はないどころが、避けられているような気配すら感じる。積極的にコミュニケーションを取ろうとするほど、村上は一歩引いた態度をとった。

―確かにクライアント先ばかり行って忙しそうだし、今はこれで良いのかしら...。

張り切って臨んだ村上とのランチは、何となく不完全燃焼のまま終わった。

「上司のニーズを理解してない。秘書失格」


―結局、何の仕事も振られなかった...。

ランチ後、村上はすぐにクライアントの元へ出かけ、ミドリはやはり一人ポツンと取り残される。頼まれるのは、村上の部下からの印刷作業や、簡単なデータ入力の仕事ばかりだった。

しかし、ミドリはめげずに、村上の個室をこまめに掃除したり、近くの花屋で買った小さな花を飾ったりなど、自分なりに「秘書らしく」振る舞うことにした。

村上が社内に戻れば一言声をかけ、何か必要な作業はないか探り、マメな挨拶も欠かさない。

ほどなくして、社内の他のコンサルタントたちは、「ミドリさんは、いつも笑顔で気持ちがいいね。明るくて癒されるよ」などと、ミドリの思惑通りの反応を見せてくれた。

皆、「ミドリさん、ミドリさん」と親しみを込めて呼んでくれるし、きっと、「感じの良い秘書」というキャラを確立できたに違いない。

しかしある朝、慌ただしく支度をしてオフィスからクライアント先に出かけた村上を見送ったとき、ミドリは入社して初めて背筋の凍る思いをした。

「ミドリさん、あなた、空回りしてるわ。上司のニーズを全く理解してない。それじゃ、秘書失格よ。」

振り向くと、そこには泰子が、物凄い剣幕でミドリの後ろに立っていた...!

次週9月21日水曜更新予定
上品な泰子が突然ブチ切れる...?!

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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