2025年のワークスタイル Vol.2

2025年のワークスタイル:新たな社会制度の導入。だがそれは禁断の果実だった…?!

2025年、東京に住む人々の生活は大きく変わっていた。

産業革命やIT革命のように、2020年代にAI(人工知能)革命が起こったのだ。

AI革命が起こると、人々の働き方は様変わりした。
多くの仕事を機械やロボットが担うようになり、2010年代まであった職業が次々と消えていく。

そうして、企業が人を雇わなくなり、働く場所を失った人が溢れていった。

これは、ありえるかもしれない未来の東京で、精一杯生きる人たちの、ライフスタイルに迫る物語。

前回は、ある日突然、安泰だと思っていた公認会計士の職を失った竜也を紹介した。今回は彼のその後を追ってみたが…。


ベーシックインカムの導入


竜也が途方に暮れていた時、また社会ががらりと変わった。以前から議論されていたベーシックインカムが、日本で正式に導入されたのだ。

ベーシックインカムは、10年近く前から導入についての議論を何度も繰り返していたが、実現されることはなかった。だが2025年になった途端、竜也のように仕事をなくし路頭に迷う者が街に溢れたため、政府は早急に法律を整備し、ついに導入されたのだ。

そうして、毎月政府から18歳以上の全国民に一律で16万円が支払われることになった。18歳以下は、半分の8万円が支払われる。年金、失業保険、生活保護はもちろん廃止された。

年金なんてどうせ破たんしていたも同然だ。生活保護も同様で、その審査は厳しく、受給できるとしてもそれまでには途方もない時間がかかる。貰える頃にはもう手遅れ、ということも多いようだ。

だから竜也のように路頭に迷っていた者には、この政策は天からの恵みのように降り注ぎ、言いようのない焦りと不安からはひとまず解放された。

「政府も、思い切ったことしましたよね。でもそれだけ、次のフェーズに行かないといけない状態だったってことでしょうね。首の皮1枚ですが、なんとかこれで食いつなげるよ。」

以前に比べると、頬が少しコケた印象の竜也は、ほっとした顔でそう言った。

ベーシックインカムが始まると仕事を辞める人が増えるのではないかと懸念されていたが、実際にこの制度がスタートして仕事を辞めたのはごく一部の人間だった。

安い給料で働いている者は、仕事を辞めて16万で暮していける程の蓄えもない。ただ、最低限の生活が保障されたことで、より良い会社を求めて転職するきっかけにはなり得るようだ。

逆に年収数千万を稼いでいる者にとっては、16万増えたぐらいで何も生活は変わらない。

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