2025年のワークスタイル Vol.1

2025年のワークスタイル:AIが支配する社会。そして僕らは仕事を失う!?

会社員が安泰なんて、幻想だったんだ


どの企業も生き残るのに必死だった。今では、残った少数の社員でAIの補助業務をしていれば、今までのように会社は回ってしまう。2010年代の半分以下の人件費で、企業はこれまでのように営業を続けている。

他にも弁護士、税理士、経理担当者、タクシー・バスの運転手、医療事務員、コールセンターのオペレーター、銀行窓口、ホテルの受付など様々な仕事をAIに奪われた。


今でもAIに侵略されていない職業は、医者、作業療法士、心理カウンセラー、看護師、ソーシャルワーカーなど、特に医療関係に多い。他には、小学校の先生、音楽やデザインのクリエーター、経営者に聖職者なども残っている。

こうして並べると、現在残っている職業の中に、2010年代までは大部分を占めていた「会社員」がほとんどいないことがよくわかる。当時はまだ、いくら終身雇用が崩壊したと言っても、一度会社に入りさえすれば、その身は守られていた。出社すれば給料をもらえ、不当な解雇には不服を申し立てる権利があった。

だが、会社員が安定しているなんていう時代は、もう終わった。いや、終わりの始まりは、もっとずっと前に来ていのかもしれない。そういえば、2000年代初頭にIT寵児と騒がれた有名な実業家も、事あるごとに「起業しろ」とメディアで言っていた。彼の言った通り、自分で仕事を作る事が出来なければ、仕事はなくなる一方だ。

勘のいい者は早くから起業を目指したり、副業を始めるなど、会社に依存しない生き方を模索していたはずだ。竜也のように、人よりも少し多く稼いでいる者たちが、危機に対して一番不感症になっていたのかもしれない。

人よりも多く稼いでいるという自信、プライド、自分の能力の過信などが、自分の周りに膜を張ってしまい、時代の流れを感じる嗅覚を鈍らせていたのかもしれない。実際、竜也の大学の同期や同業他社の人間たちで、同じ状況に陥っている者は多いようだ。

「時代が変わって、法律が変わって、社会が変わった。会社は、長期的に見れば社員を見捨てた方が得だと判断するようになったんだ。俺も、会計士なんて肩書きに胡座をかいてた一人だよ。この数年で、職業別に明暗はくっきり別れた。俺が暗の方に転がるなんて、考えもしなかったのになぁ…。」

椅子に座ったまま肩をがっくりと落とし、力なく呟く。

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