
上位3%の悲哀:98年入社・ITバブルの欠片組。年収1,000万越えと共に見えた自分の限界値
自分が一番理解している自分の限界
毎日必死で働き、会社のためを思い、エンジニアという激務を朝から晩までこなしてきた。学力も技術も負けない自信があった。プロジェクトが始まると徹夜はザラで、他を見る余裕もなく、自分自身を見つめ直す時間もなかった。
ふと気がつくと今年で40歳になっていた。
「最近、大学時代の仲間でよく集まるのですが、話す内容は上司の愚痴や会社の愚痴ばかり。自分でも嫌だなぁと思うのですが、それ以外会話も無くて。でも、大学時代の仲間と会っているとあの頃の輝いていた自分を取り戻せる気がして。」
大学時代の話をする修二は楽しそうだった。しかしその集いによく参加するのは修二と同じような状況の人が多く、特異な生活を送って大成功を収めている人はなかなか参加しないそうだ。
東京という大都市で生きる
東京という都市には魔物が住んでいる。
今の生活で十分満足できるはずなのに、更に高みを目指せと言わんばかりの目に見えない吸引力と底知れないパワーが渦巻いている。手に入れるまでは欲しくて仕方なかった物でさえも、一度手に入ると飽きてしまう。形ある物だけでなく、目に見えない幸せさえ人々は探究し続けながら生きている。
年収1,000万円というのは非常に微妙なラインで、ある程は幸せな生活は送れる。しかし本来、もっと稼げて、様々な可能性を持っていた人々が、それ以上先へは突破できずにぶちあたるラインでもある。
だからこそ、自分自身の限界に彼らは嘆き苦しむ。本当に、自分の限界はここまでだったのだろうか。本来ならばもっと上に行けていたのではないかと。元来才能溢れる人達だからこそ、心憂い、悲哀に苦しむ。
「どのタイミングで、人生を間違えたんだろう。」
過去のことを悔いても仕方ない。今後どうするかは修二次第である。
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