
上位3%の悲哀:98年入社・ITバブルの欠片組。年収1,000万越えと共に見えた自分の限界値
このままで良いのだろうか
最近修二はふと考えると言う。
「もしあの時今の会社に入社していなかったら、今頃どこで何をしていたのだろうかと。22歳の時に想像していた人生と、何か少し違うんです。」
入社当時、毎日楽しみながら、活力に満ち溢れた仕事をしている自分の理想像があった。華やかなIT業界の最先端で、時代を創る仕事。自分の手掛けたシステムで世が動き、人が動く。考えただけでも心が躍るような輝きがあり、そんな仕事に携わることができる自分を誇りに思っていた。
しかし時は流れ、時代は変わり、現状は変化している。
「年収1,000万円を越える迄は、まだそこに目標がありました。しかし1,000万円を越えた途端、その先に見えるゴールがもうどこにも無くて。これ以上は悪い意味で先が見えないという、自分のリミットと現実が、ハッキリと見えてしまったんです。」
日系企業のサラリーマンであれば、取締役級へと出世を遂げない限り、年収が1,000万円から2,000万円代に跳ね上がる確率はほぼ無い。それをみんな分かっている。1,000万円という大台は、普通のサラリーマンにとっては、ほぼ唯一にして最大のゴール。しかし一度そのゴールを達成してしまうと、もうそれ以上先には明確な目標を持ちにくいのだ。
「何よりやるせないのが、自分より学歴が低く、大した企業に就職もしないなかった奴が、独立して成功を収めている話を耳にした時です。」
就職した当時、誰もが“有名大学卒業で有名企業に就職したITエンジニア”が勝ち組だと思っていた。しかし2016年現在、そんなブランドは通用せず、学歴や有名企業出身という肩書きがない人たちが次々と上へ上がって行っている。
そんな成功したビジネスマンの話を聞く度に、やるせない気持ちが修二を襲う。自分達の方が上だったのに。自分達の方が良い大学も出ていて、有名企業で働いているのに、いつの間に彼らに追い抜かれたんだ。と。
一生懸命会社のために働いているうちに、いつの間にかノーマークだった人達が悠々と年収1,000万円の壁を越え、楽しそうに自分の会社を営んでいる。彼らなりに悩みもあるだろうが、頑張ったら頑張った分だけ稼げる彼らが羨ましくて仕方ない。
自分の限界は、年収1,000万円
彼らの限界は、無限大。
決して道は踏み外しておらず、頑張ってきたはずだ。学歴レースにも就職活動戦線でも勝ち続けてきた。しかし気がつけば空虚な敗北感を噛み締めている。
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