グリードの向こう側 Vol.1

グリードの向こう側:会社の評判、知名度なんて実はどうでも良かった。敏腕経営者の英断

「利己=見栄」という欲望が、社会を活性化し経済を成り立たせているという事実は否定しない


「自分さえ良ければいい、自分の給料、自分の会社、自分、自分、自分。ある程度の利己主義は誰にだってある。でもそれだけで成功し続けられるほど、社会ってものは甘くないと俺は思うね。」

女にモテたい、世間に認められたい、褒めてもらいたい。特に男にとって、「金を稼ぐ」「仕事をする」という意欲の源は、そんな単純な欲求に過ぎない。

20代や30代の若い時期は、ある程度は仕方ない。美人にチヤホヤされたい、豪華なタワーマンションに住みたい、高級車を乗り回して人に崇められたいなどの、そういった個人の「利己=見栄」という欲望が、実際に社会を活性化し経済を成り立たせている、と崇は言う。

そんな彼もかつては、欲に目が眩んだ時期があったという。

会社を継いですぐにその経営手腕を発揮し始めた彼は、会社の業績がぐんぐんと伸びる面白味を実感した。そして会社がある程度上手く行くと、今度は次の目標を探すようになる。

崇の場合、それは会社を上場させることだった。

目標は「上場」。上へ上へと、仕事に没頭した結果は...?


必要なのは、単純に利益だった。上場させるため、とにかく利益を追求する。当時の崇は時間も忘れて日々仕事に没頭し、自分だけでなく社員にも無理難題を押し付けた。

「上場を目指して、次は何、次は何って、とにかく会社の利益を生み出すことが自分のエネルギーの源になるんだよ。社員も巻き込んで。一旦そのサイクルに入ると、ある程度の仕事が上手くいっても満足感を得られない。どんどん上を目指すようになる。」

結果、崇の会社は上場した。

会社の価値は上がり、利益は増え、社員の数も増え、もちろん崇自身も大金を儲けた。世間からの評価は高くなり、彼は敏腕若社長としてちょっとした有名人になった。

そして崇は、そこからまた更なる利益を追求していく。多忙をものともしない意欲の源は、会社の株価だった。株価という数字に憑りつかれたと言ってもいいほど、会社の株価総資産を高めることに必死になった。言ってしまえば、それしか考えていなかった。

ちなみに崇は元々生真面目な性格だ。金儲けをしたからと言って、浪費や女遊びをするわけでもない。ただ単に、会社の株価を上げることが目的になってしまっていた。

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