京都クエスト Vol.9

京都クエスト:川床から鳥懐石まで、京都での乙な夏のひととき

結婚を意識していた彼女が京都へと去っていった。勝ち組のはずだった35歳・晃二を襲った突然の悲劇。最近では、遊び仲間たちも何故か京都の引力に惹かれている。

その謎を解くべく降り立った古の都。朝粥や川床に芸妓さん、東京では遭遇することのない新体験が次々と彼を魅了していく。

どんなところなのか見に来ただけのつもりが、いつのまにか京都の魅力に取りつかれ、京女のミサとつきあうことになっていた。

京都クエストvol.8:プライドの高さが災いする、こじらせ男のあやし方

京都の夏は暑い。

これが東京ならクーラーのきいたカフェに行くんだろうが、京都にいる時は折角だからと鴨川沿いで川床(ゆか)のある『kawa cafe』によく足を運んだ。京都のゆかには、通し営業のカフェが少なく、中心部の河原町からも近いここは、なにかと使い勝手が良かったのだ。

ボクらは、ここでビールでもシャンパンでもなくシードルを良く頼んだ。鴨川の流れを眺めながら、ゆったりするには、ほどよく甘いオーガニックな味わいが肩の力を抜いてくれるのだ。

ミサは大学からパリに留学していたシューズデザイナーだ。今でこそ、自分も日本と海外で不動産投資の仕事をしているが、20代前半の頃は、海外で仕事をすると思っていなかった。

「そういえば、いつ頃からシューズデザイナーになろうと思ったんだ?」

「パリに行ってからよ、洋服のデザインの仕事はしようと決めてたけど、最初から靴のデザイナーと決めてたわけではないの。」

「高校の頃にはデザイナーになろうと思って、パリに行こうと決めてたんだ、凄いな。」

「別に凄くはないよ。お兄ちゃん2人とも留学してたからね。なんか、自然と。」

「お兄さんって、今、何してるんだっけ?」

「実家のお寺の副住職だよ、話さなかったっけ?」

「実家ってお寺だったの? 初めて聞いたよ。最近は、お坊さんも留学するんだ?」

「ね、遣唐使ってどんな人が留学してたか知ってる? 最澄とか空海って何してた人?」

「まったく、お坊さんってお経読んでるだけだと思ってるんでしょ? 兄はMITで脳科学の勉強してたの。」

10歳年下の彼女だが、たまにどちらか年上か、わからなくなることがある。普段は主導権をこちらに預けているのだが、ふとした時に急にマウントを取りにくるのだ。

形勢不利な状況を変えるべく、スマホに目を向けると知らない男からFACEBOOKにメッセージが入ってた。いたってフツーのオッサンのプロフ写真だ、こんな知り合いいたっけな。

「お前のつきあっているミサは……」って、えっ……!?

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