東京結婚式明細 Vol.11

東京結婚式明細:30過ぎたら渋谷はNG?強すぎるパーティーオーラに気圧された二次会

理想的な結婚を、適齢期にした沙織、32歳。

誠実で、外見も稼ぎも良い夫と安定した結婚生活を送り、3年になる。

今回は出席を躊躇った渋谷のど真ん中で開催される二次会に、渋々参加することになったが…?

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オーバー30の女が二次会に「渋谷」を選ぶのはアウト?


私は恐らく学生時代ぶりに、この渋谷センター街という場所に足を踏み入れてしまったことを、猛烈に後悔している。

同じような主婦友達である麻美とお馴染みの朋子も同様に、完全に引きつり顔だ。美容院でセットしたばかりのまとめ髪も、人混みと暑さですでに乱れ始めている。

この渋谷という街は、私の自宅がある青山一丁目からたった2駅しか離れていない。にも関わらず、しばらくこの地に縁のなかった私たちを、ものの30分で恐ろしいほどに疲れさせた。喧騒感と饐えた臭い。どんどんエネルギーを奪われていく。

「何で30歳も過ぎた女が、渋谷なんかで結婚式の二次会をしようと思うのよ…。」

浮き気味のファンデーションの眉間にさらにシワを寄せながら朋子は言い、3人は同時に溜息をついた。

二次会出席を断れない女たちの、年相応の理由


今回の花嫁である舞衣子は、私たち3人の気に入りの美容皮膚科で受付をしている1つ年下の女だ。青山にある評判の良いその皮膚科は予約が取りにくいことでも有名で、私たちは2年ほど前から定期的に通っている。

ここの受付の女たちは皆可愛らしい顔をしていたが、舞衣子はそれに加えてとても愛嬌が良かった。顔を合わせる度に可憐な笑顔で「昨日は朋子さんがいらっしゃいましたよ。3人とも本当にお綺麗で、私の憧れです!」などのお世辞を自然と添えるので、通い続けるうちにランチやお茶をする仲になった。

多少ギャルっぽい派手さはあるが、舞衣子は素直で性格の良い女だった。仙台から上京し都内の短大を卒業した後、モデル活動をしていたらしい。不自然に広い二重の幅や、妙に筋の通った鼻は、きっとその頃に工事をしたものなのだろう。(美容に少し気を使う女であれば、整形済みの顔を見抜くのは朝飯前だ)

舞衣子はモデル業だけで生計を立てることは出来ずに、様々なアルバイトを経てこの皮膚科に辿り着いた。ありがちな生い立ちだった。



「是非、二次会にいらしてください!」

当初から強い結婚願望を持っていた舞衣子が結婚に辿り着いたことは心から嬉しく思ったが、二次会の場所が「渋谷」だと聞くと、正直行く気にはなれず、私たち3人は返事を先延ばしにしていた。

「ねぇ、舞衣子ちゃんに皮膚科に行くたびに“二次会に来てください”って言われるんだけど、3人欠席なんて気まずいわよね?どうする...?」

しかし一番真面目な麻美が口火を切ったことで、私たちは抜け駆けをせずに揃って出席しようと決意した。舞衣子はいつも私たちの皮膚科の予約を優遇してくれる。予約が取りにくくなれば、私たちの肌は一気に老化するに違いないのだ。

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