東京結婚式明細 Vol.8

東京結婚式明細:子連れ女友達が招いた悲劇の結婚式。納得できないその理由は……?

理想的な結婚を、適齢期にした沙織、32歳。

誠実で、外見も稼ぎも良い夫と安定した結婚生活を送り、3年になる。

今回は、壮絶な婚活を経て結婚に辿り着いた友人の結婚式に出席する。女が夢見る一生に一度の晴れ舞台、結婚式。そこで花嫁の夢を打ち砕いた、子連れの女友達の実態とは……?

東京結婚式明細 vol.7:38歳の生真面目女の、完成度の高い結婚式。それをぶち壊したのは……?


子連れで結婚式に出席したいという友人。断るのは非常識?


「早苗が子供連れて出席したいって言うんだけど、どう思う……?」

由美に神妙な面持ちで相談を持ち掛けられたとき、正直あまり深くは考えていなかった。

最近は子供を生んだ女友達も増えてきたが、確かに子連れで結婚式に出席するという話はあまり聞かないな、と思ったくらいだ。

「男の子で、1歳半なんだって……。」

由美は明らかに難色を示していた。大きな丸い瞳が揺れ、形の良い唇をキュッと結んでいる。

メガバンクに勤めている彼女は、28歳の時に4年程付き合った同期の男と破局し、それから本人曰く「壮絶な婚活」を乗り越え32歳で晴れて結婚を決めた。相手は4つ年上で、MBAホルダーの外資系コンサルタントの男だ。家柄も良いらしく、ハリーウィンストンの婚約指輪を贈られたときは泣いて喜んでいた。

神経質な彼女は、きっと何かと理由をつけて子連れは断りたいようだ。ようやく辿り着いた結婚式に、少しの不安要素も抱えたくないのだろう。しかし同時に真面目でもある彼女は、早苗の申し出を無下に却下することも躊躇っている。

私は家族や式場と相談したら良いのではないか、と、当たり障りない返答をした。

母親の影に隠れ人見知りをする幼児。愛らしかったのは最初だけ……?


結婚式当日、早苗は息子を連れていた。やはり由美は断らなかったのだ。

水色の蝶ネクタイをした小さな男の子は母親の足の影に隠れ、女たちの輪を訝し気に覗いている。小さな手には電車の絵本が握られていた。まぁ、可愛いではないか。久しぶりに会う友人たちも、次々としゃがみこんで彼の頭を撫で挨拶を繰り返していた。

早苗は母親らしい、少しボリュームのある体型になっていた。子育ては大変だが、子供の成長一つ一つが喜びでたまらないなどと言い、息子が可愛くて仕方ない様子だ。

「たぁくんはご挨拶できるもんね、ほら、皆にこんにちはってしなさい?」

母親に促されるが、人見知りを続ける彼はまだ怯えた様子であった。そんな姿を愛くるしいと思えたのは、最初だけだった。

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