週末婚2016 Vol.10

週末婚2016:夫に隠していた離婚歴が明らかに! その時妻が取った対応とは?

前回までのあらすじ

週末だけ一緒に過ごす結婚・週末婚生活を送る諒介(31)と理帆子(35)。

大喧嘩してから1ヶ月以上連絡を取らない日々が続いていた。諒介はアシスタントの花と仕事帰りに出かけたレストランで、男と一緒にいる理帆子に鉢合わせしてしまう。その男は理帆子から「かつての夫」と紹介され……。

週末婚2016 vol.9:今明かされる妻の秘密! そして、そこから修羅場が始まる


その時ふと、「彼」のことが頭をよぎった。彼なら、どう考えるのだろう。


広尾に今年オープンしたばかりのイタリアン『メログラーノ』で、理帆子は「彼」に語り出した。

「もしかしたら、諒介とは離婚することになるかもしれないわ。」

仕事でのトラブル、夫との不和。今までは仕事もプライベートも確かに順調であった筈だ。注意深く築き上げてきたはずのものが、僅かこの数ヶ月の間に音を立てて崩れ始め、理帆子は自分を見失いかけていた。

カウンター席の横で、優しい眼差しで理帆子を見つめるのは、かつての夫・豊だ。出会いは、学生時代に遡る。親の強い反対があったため、理帆子は早稲田に進学したのだが、本当は芸大か美大に進学したかったのだった。

当時、東京芸大に前衛的なデザインをする教授がいて、理帆子は個人的に頼み込んで授業に参加させてもらっていたのだが、そこで知り合ったのが豊だった。

美しいと感じるもの、興味を強く惹かれるもの、あるいは許せないと思うもの、あらゆる感覚を豊とは共有できた。ずっと一緒にいたいと思うことと、結婚するということは、当時の理帆子と豊にとって直接的に結びつくものであったので、周囲の反対を押し切り、大学の卒業式の日に婚姻届を出したのだった。

結婚生活と、社会人生活が同時に始まったのだが、あれほど強く惹かれ合い、何もかもがぴったりと合うベターハーフであったはずの関係は少しずつ形を変えていった。

結婚する前まで、お互いに口にする言葉は、「世界の美しいものについて」、あるいは、「互いの愛しい部分について」といった美しくポジティブなものであった。だが、結婚してから言葉を発するのは、夫として、妻としての役割、義務を求める言葉に変わっていってしまった。

決定的だったのは妊娠だ。結婚して1年と経たず、理帆子は妊娠したのであるが、理帆子にすればそれは誤算でしかなかった。

子どもを産めば、キャリアを中断せざるを得ず、しばらくの間は子どもを中心に置かざるを得ないだろう。まだ自分は23歳だ。今回は諦めても、いずれまたチャンスに恵まれるはずだと理帆子は考えたのだが、豊は産むことを望んだ。

自分も協力する、などと容易いことを口にしたが、二人の生活すらままならない状況で子どもを産めば、結婚生活そのものが破綻すると思ったし、何よりもプロダクトデザイナーとして駆け出し始めたばかりで、仕事を中断しなければいけないことは恐怖でしかなかった。

結局、半ば理帆子の一方的な希望だけで中絶をしたことをきっかけに、夫婦の溝は決定的なものとなり、結婚生活は2年と持たず離婚をすることになったのだった。

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