
その名はサエコ:「自分の実力値」をわかっている女は、この日本にどれほどいる?
サエコは続けてこう言った。
「つまり、自分の実力値とかけ離れた大金持ちを狙うのも、逆に婚期を逃す恐怖からチキンになって、平凡な男で手を打つのも、どちらも同じくらい愚かなことだと思うの。」
サエコは、様々な女を例に出して続けた。
「短大卒の受付嬢の最高値は、総合商社のエリートビジネスマン。商社マンと結婚できたら故郷に錦を飾れるでしょうね。
大卒で普通に可愛い一般企業OLの最高値は、もう少しレベルアップして外資系金融のトレーダー。年収数千万を稼ぐスーパー・サラリーマンと結婚するのが関の山。
実家が大金持ちの令嬢なら、次期総理大臣も射程圏内。
今をときめく女優なら、ハリウッドセレブも、大企業のCEOも自由自在の青天井ね。」
奈々は、茶々を入れた。
「それでいうとサエコさんは、あんな大富豪を捕まえられるなんてやっぱりすごいですよね。」
奈々は改めて、目の前にいたサエコを眺めた。
パーツパーツは整っているものの、超絶の美女ではない、と思う。仲の良い先輩・後輩であるということを差し引いて冷静に見てみれば、アンが言った「凡庸な女」という表現も、あながち間違っていないのかもしれない。
そのサエコが、今をときめく大富豪と交際しているとなれば、やはり、持って生まれたポテンシャルの限界値をかなり凌駕してしまっているような気さえする。しかしながら、後輩の奈々は、勿論そんなことを言えるはずもなく、むしろ、そのサエコの賢さを学び、1つでも多くのTipsを自分のモノにしたいと思っている。
サエコは奈々の言葉に、心なく笑うと、意味深なことを言った。
「私は、自分のポテンシャルの最高値をわかってるわ。」
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