広尾ヒマダム Vol.5

広尾ヒマダム:暇すぎて馬に目覚め、なぜかキャットファイト!

前回までのあらすじ

夫の別宅に暇を出した家政婦薫がいることを知り、さらに、夫が薫を自分の娘だと思い込んでいることを知る。けっきょくDNA鑑定で、薫は夫の娘ではないことがわかる。しかし夫に愛想が尽きた澄美は夫とは別れて新しい夫を探すことにするが、夫を会社から追い出すことが叶わなかった。夫の社長退陣を断念した澄美は、鬱屈した日々を過ごしている。

vol.4:ヒマダム、婚活開始。離婚を前提に私とつきあってくださる方、募集中

美咲さん

あなた、淀川舞子ちゃんのお母さまを覚えていて? ほら、あの成り上がりのおもしろい方ですよ。彼女と私は乗馬仲間で、代々木の『東京乗馬倶楽部』でご一緒していたのだけれど、あそこも狭いから私は横浜や三浦など神奈川の乗馬クラブに移りました。でも彼女の方は、馬に投資する方に夢中になってしまったのです。

それで、先月彼女の馬が中央競馬の何レースだかで優勝したそうで、彼女、大喜びで恵比寿の『ジョエル・ロブション サロン』の個室『ヴェルサイユ』でパーティーを開いて、私も馬つながりということで、呼んでいただいたのです。

お料理は、フランス産のホワイトアスパラガスなども出て、すっかり春の雰囲気でしたわ。

招待された方たちは、皆様プレゼントを持ってきていて、その中のおひとりが、1985年の『ロマネ・コンティ』を持っていらしてね、皆様感嘆の声を上げていらしたわ。

私も、うちのワイナリーのワインを持っていったのだけれど、『ロマネ・コンティ』と比べられるとちょっと、と思ったら、淀川さんが、「澄美さん、ワイナリー持っていらっしゃるのよね」なんて言うから、出さざるを得なくなってしまって、皆様でちょっとずつ『ロマネ・コンティ』とうちのワインと飲み比べをしたりして……。

でも、皆様『ロマネ・コンティ』と遜色ないと言ってくださったわ。

まあ、いい余興になったと思いましょう。

あとは、北海道の富良野産の高級にんじんを2キロ持ってきたという方もいらしたの。ご苦労さまね。

『ファーバー・カステル』の『パーフェクトペンシル プラチナグレー』と『グッチ』の消しゴムと『エルメス』の付箋をセットにして、『ジル・サンダー』の紙袋に入れて持っていらした方もいましたよ。「あれ、まだ売っているのね」というようなささやき声が、方々で聞こえました。

痛いわね、持ってきたのは私の大学の同級生、久美子。実は彼女、お手伝いの薫ちゃんの母君です。感のいいあなたなら察したかもしれないけれど、お父様の元カノで、今回の隠し子騒動の火種よ。あとで聞いたら淀川さん、私と久美子の一件を知っていて、あえて私たち2人を呼んだみたいです。成り上がりって、ときに恐ろしいことをするものですね。

彼女は、痛い空気を感じたらしく、しばらく経ってイースターが今年は3月だった話などが出たとき「これ、うちにあるファベルジェのイースターエッグ」と言って、iPhoneを取り出して卵型のオブジェの写真を私に見せてきました。

だから言ってあげたわ。「よくできたレプリカね」って。

ファベルジェのイースターエッグってほとんど持ち主はわかっていて、ロスチャイルド家のものはロシア人が所有しているはずなのです。

でも、彼女は頑として譲らないものだから、その場の雰囲気を壊してしまうのも困るので、翌日帝国ホテルで会うことになりました。どちらが正しいか解決するためにね。そんなの自明の理なのに。

【広尾ヒマダム】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ