崖っぷちアラサー奮闘記 written by 内埜さくら Vol.15

崖っぷちアラサー奮闘記:ついにプロポーズ!どうせ結局、最後は男で決まる!?

前回までのあらすじ

北岡涼子、30歳、元女優。社会人経験なし、資格なし、貯金なし。芸能界で活躍したが、徐々に干されて今に至る。就職活動をしようにも、「綺麗」以外の特性がないため続々と不採用通知を受け取る。

そんななか大先輩の小田につれられて足を踏み入れた、銀座の超高級クラブ『銀華』の由紀ママにひょんなことから店にスカウトされ、夜蝶デビューを果たす。

そして一番信頼している片桐から持ちかけれた転職話より先に、涼子はある決断を下す!

第14話:崖っぷちアラサー奮闘記:ホステスを続けるか就職するか。人生の岐路に立たされる!

『銀華』のママになるか、片桐から誘われた不動産業界で地道にキャリアアップに努めるか、それとも先輩の小田が紹介する男の誘いに乗って女優業に復帰するか。

その上、元恋人である拓海からのプロポーズに返事をしていない涼子は、4つの道のどれを選ぶか結論が出せないまま週末を迎えた。

よく眠れずに朝を迎え、掃除や洗濯を済ませて顧客の情報整理をしていると、スマホが着信を知らせる。片桐だった。

「涼子ちゃん。急で悪いんだけど今夜空いてないかな?」

聞けばワイン専門店を営む知人が、在庫整理のためひとりでは飲みきれないほどのワインを格安で譲ってくれたのだという。

「だから一緒にどうかな、と思って」

片桐の自宅で一緒に飲もうと誘われたということは密室でふたりきりになることを意味する。

しかし涼子は以前、片桐を『銀華』に紹介してくれた藤代と日帰りで温泉に行った経験があったため、性質は違えども、同伴と同じ類だろうと察した。

今日は土曜日だからその後出勤するわけではないが、片桐はいま最も涼子が信頼を寄せている男性である。人として尊敬もしている。その気持ちには片桐が一度も下品な本性を醸し出さないことが大きく関係していた。

――それにやっぱり、相談もしておきたいし。

片桐は先日、自分を“銀座の水”に長く浸らせたくないと言った。だから銀座のママになる将来は反対するだろうが、女優業に復帰する道も水商売だと反対するだろうか。

女優とホステスしか仕事経験のない涼子は、企業のトップに君臨する片桐の仕事に対する価値観を、一社会人として聞きたい思いがある。

さらに涼子は、奥山に陵辱されかかったところを助けてもらった恩もあるため、先日詳らかになった犯人とその因果関係を報告する義務がある。話の流れ上、拓海のことも避けられないだろう。

ここまで良くしてくれている片桐に、中途半端に隠すことはできない。涼子は腹を決めた。

「ええ、喜んで」

自宅の住所を聞くと、東京メトロ銀座線の赤坂見附駅から徒歩4分だと言う。「タクシーに乗っておいで。」と気遣う片桐に、「電車に乗っても、すぐ着きますから。」と断り、電話を切った。

13階建てマンションの12階にある片桐の自宅は豪華絢爛の言葉がふさわしく、軽く20畳以上はあるであろうリビングを前に、涼子は「すごい!」と感嘆の声を漏らした。

CassinaなのかB&B Italiaなのか判別はつかないが、配置されているすべての家具は一目で高級品だと解る。無駄な家具を一切排除した室内に涼子が「こんなに素敵なご自宅に住んでいるなんて、やっぱり片桐さんは凄い人なんですね。」と言うと、「成り上がりってやつだよ。」と片桐が自虐的に笑う。

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