表紙カレンダー Vol.9

長澤まさみインタビュー:「自分の経験はあくまでひとつの経験であって、絶対じゃない」

ところで、長澤さんといえば、現在放送中のNHK大河ドラマ『真田丸』について触れないわけにはいかない。扮しているのは、主人公・真田幸村(信繁)の幼なじみ“きり”。

後に信繁の側室となり、生涯にわたって信繁を支え続ける重要な役どころだが、その人物について詳しいことはほとんどわかっていない。つまり、脚本を手掛ける三谷幸喜氏の腕の見せどころになる。

その三谷氏について水を向けると、長澤さんは途端に真面目な顔つきになって「三谷さんは天才です」と言い切ってみせた。

「すごく軽く聞こえるかもしれませんけど、本当にそう感じています。彼が描き出す世界はひとつの物語として完成度が高く、台本に目を通すたびにハッとさせられる。私たちは伝える仕事をしています。観てくださる方の心に響かなければいけない。その点、三谷さんの作るお話はわかりやすくて、人を迷わせないでしょ?これは誰でもできることじゃないと思うんです。そして、そんな三谷さんならではの“わかりやさ”に、私自身も救われました。1年半ほど前、三谷さんが手掛けた『紫式部ダイアリー』という舞台に出て、ようやく芝居をするのが楽しいと実感できたんです」

聞けば、それまでの長澤さんは、女優としての自分に納得していなかったらしい。

13歳でこの世界に入って15年。そのほとんどの時間を“演じる”ということに費やしてきたためにどこか感覚が麻痺し、好きで続けているのかどうかが見えなくなっていたというのだ。

「今は、自分が好きで役者をやっていると胸を張って言える。勿論難しさはいつも感じていますけどね」。

そう語る彼女に、これからの方向性を訊ねてみると、苦笑しながらこう返された。

「ごめんなさい、これというのが何もないんです。でも、強いて言えば余計なこだわりをもたないってことかな。この仕事は現場ごとにルールがまったく違うんです。 だから、自分が培ってきた経験はあくまでひとつの経験であって、絶対じゃない。それを自覚し、今の環境を楽しみ切ることが大事だと思います」

その言葉に気負った様子は見られない。ちなみに、今回の大河の現場は緊張の連続だというが、その緊張を肥やしにし、彼女がどう変化するか見守りたい。

写真提供/NHK

お人好しの“きり”を“自然体”で好演

戦国時代最後の名将・真田幸村を描くNHK大河ドラマ『真田丸』(日曜20時〜)。ヒットメーカー・三谷幸喜氏の筆が冴える脚本は、観る者に人間賛歌の感動を伝える。幸村の幼なじみ“きり”に扮する長澤さんの伸びやかな演技にも注目

■プロフィール
長澤まさみ 女優。1987年、静岡県に生まれる。2000年に第5回「東宝シンデレラ」グランプリを獲得して女優の道へ。4月23日には出演作『アイアムアヒーロー』、10月に『グッドモーニングショー』、秋に『金メダル男』が公開予定

■衣装クレジット
トップ¥93,960、スカート¥132,840〈共にドリス ヴァン ノッテン 03-6820-8104〉


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