女優とディナー Vol.3

女優とディナー:人気モデル・松井愛莉を凍え死にさせかけた伝説のデートとは?(1話読み切り)

『夢をかなえるゾウ』シリーズは300万部、『人生はニャンとかなる!』シリーズは180万部を突破。そんな人気タイトルを多数手掛ける作家・水野敬也氏が「超絶美女とどうやったらお友達になれるのか?(あわよくば付き合えるのか?)」を自ら実験台となり、検証する。

恋愛マニュアルも手掛けたことのある水野氏は、毎回綿密なデートプランを練り上げ、その事前の“準備”こそすべてだと語る。

今回のお相手は女性ファッション雑誌『Ray』の 専属モデルで、ゼクシィのCM ガールとして注目を集めた松井愛莉さん。人気急上昇中の彼女を喜ばせるために、水野氏が用意した抱腹絶倒のプランとは?

「松井愛莉」という女優の名前を聞いて「ああ、ゼクシィのCMガールで30人の芸人から告白されていた美女ね」と即答できる人は相当メディア感度の高い人であり、1日中薄暗い狭い部屋の片隅でじっとしながらパソコンの前で指先だけを細かく動かし続けるという、


水族館のオオグソクムシみたいな生活

をしている私からすると本来知るはずのない人なのですが、
担当編集Hから「次回のディナーのお相手は松井愛莉さんに決まりました!」と言われたとき、

(つ、ついにこの時がきた――)

と興奮で全身を震わせることになりました。話すと長くなりますが、超長くなりますが、どうしてもあなたに聞いてもらいたい、なんならこの文章の原稿料を読んでくれた人の頭数で割って差し上げてもいいんで(たぶん、ひとりにつき、ギリ1円差し上げられると思います)頑張って付き合って頂ければと思います。

ドラマの打ち上げってあるじゃないですか。週刊誌とかで、「主演女優の○○がドラマの打ち上げで朝まで泥酔」みたいな記事になったりする、あの打ち上げを私は密かに「約束の地」と名づけていました。

いつの日か自分の書いた本がドラマ化され鳴物入りで打ち上げに参加し、女優たちから「センセッ、センセッ!」とちやっほやにされ、一緒に泥酔してそのまま大人の関係に発展する、そんな桃源郷に向かうために自分を叱咤激励しオオグソクムシ的生活にひたすら耐えてきたわけですが、今から数年前、遂に、自分の作品がドラマ化され意気揚々とドラマの打ち上げ会場に向かったところ、居場所がどこにもなかったんですね。

行ってみて分かったのは、イルカやジンベイザメが優雅に泳いでいるメインの水槽に、いきなりオオグソクムシが放り込まれても泳ぎようがないってことなんです。
こうして完全にアウェイな会場だったのですが、私の席に番組プロデューサーが来てこう言ったんです。

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