
その名はサエコ:愛の才能?いいえ、最後に勝つのは「夜の才能」を手に入れた女。
眩しくて直視できずに頭は自然と垂れ、王様の言う事は絶対、という気がしてしまいます。殿に目をかけられた大奥の女中たちのよう、誘われたら「御意」と深々と一礼し喜ぶことの方が、断る以上に簡単なことに思えてきます。
腐女子と呼ばれる類のアニメオタクの女性たちが「イケメンが苦手」という話を聞いたことがあります。イケメンを前にすると、まっすぐに目を見れないとか、自分が彼の目を汚してしまっている気がして申し訳無い気持ちになるとか・・・
そんな馬鹿な、と昔は笑っていましたが、彼を前にして、彼の目が私をまっすぐに私を捉えたとき、やめて!と叫びにも似た気持ちになりました。
自分に自信がある人は、人の目をまっすぐに射るような目で見てきます。そのまっすぐな眼差しに、耐えられるクオリティがない場合は、どうすればいいのでしょう?
「こいつ、鼻が低いな」とか「顔丸いな」とか「ニキビがあるな」とか間違い探しのように、不揃いなパーツを探されてるような気持ちになるんです。もちろん、彼はそんなこと考えるような心の荒んだ人ではありません。だけど、彼の目が、私の顔をまじまじと見るたびに、彼の視線を汚してしまったお詫びに、消えてなくなりたい気持ちに襲われました。
そんな彼が、私をデートに誘ってきたのですから、最初は、からかわれてるのかと思いましたよ。
小学生の罰ゲームのように、クラスで一番のイケメンが、いじめられっ子を体育館の裏に呼び出して告白する。頬を赤らめる女の子のリアクションに、影から、仕掛け人たちが飛び出してきて大笑いをする・・・
そんな残酷な子供のゲームを彷彿とさせ、警戒心と猜疑心まみれで挑みました。しかし、私の邪推を一掃するように、彼は何度目かのデートで、私の、仕事に真剣なところに惹かれたと言ってくれました。そこからは、とんとんとスムーズに話は進みました。
だけど、あんなに全てを持っている彼が、なぜ私を選んだのだと思いますか?
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