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#東京悪女伝説 Vol.3

その名はサエコ:冴えない35歳女、後輩のリア充ぶりに感じる嫉妬。


契約社員ではあるものの、「ハケンの品格」の篠原涼子さん演じる大前春子さながら、仕事は真面目に一生懸命やってきたつもりです。その甲斐あって、上司から「困った時の靖子さん」という立ち位置を勝ち取り、サエコの世話係りを任命されました。

違和感を感じ始めたのは1ヶ月ほど経った頃でした。


彼女が社を挙げてのプロジェクトに異例の抜擢をされたのです。

時を同じくして、執行役員のひとりと彼女の不倫の噂が流れました。また、サエコにえらい熱を上げた、西島秀俊さん似の同期イチのイケメンが、営業成績で記録を塗り替えたという噂や、会社帰り、毎日会社までBMWで迎えに来る彼氏がいるという噂も・・・

真偽のほどはわかりません。詮索するのは無粋な気がして結局聞けませんでした。

けれど、サエコと自分には何かしら相通ずるところがあるというファーストインプレッションを信じていた私は、噂を聞いたのちも、合コンや、休日の食事に何回か誘いました。

今思えば、「先輩さすが」と思われたかったのでしょうね(笑)私なりに厳選して、青学出身の品川の一流メーカー勤務の男性や、日大出身のベンチャー企業幹部など、選りすぐりの合コンに誘ったり、なかなか予約がとれないという『うしごろ・バンビーナ』や『金舌』などを提案しましたが、ことごとく予定が合わず、やんわりと断られました。

「すっごーーーーーく行きたいのですが、先約があって・・・本当にいつも誘ってくださってるのに、ごめんなさい。今度から私が誘いますね!」

そう言って、毎回わざわざ私のデスクに来て謝るサエコは、いつも本当に申し訳なさそうな顔をしていて、無条件に許してしまいたくなる赤子のような魅力がありました。行きたいのは本音で、本当に予定が合わないのだなと、自尊心は守られ、「いい子だなぁ」と、ホクホクとしていました。

その後ほどなくして、サエコは一大プロジェクトの特別チームに抜擢され自然と疎遠になりました。その数ヶ月後、「サエコのブログがすごい。」と、再び彼女の噂を聞いたのです。

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#東京悪女伝説

絶世の美女ではない。だけどなぜかあの子には男が途切れない。あなたの周りにもきっといる、そんな女のお話です。

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