東京婚活事情 Vol.3

「綺麗なCA」というだけでは、東京の婚活市場最前線では勝てない

美しいのに結婚できない女。

ここ数年、雑誌の特集でもメディアでも毎度取り上げられるネタとなる。彼女たちは結婚できる女たちと何が違うのか?その女たちの生活と心情、生の声をレポートする。

<今週の東京婚活女子>

名前:奈緒美30歳
職業:大手航空会社のCA
年収:450万円
出身:和歌山県
出身大学:関西の外国語系大学
住まい:清澄白河のマンション
家賃:8.3万円
交際ステータス:3年付き合ったのち、フリー

元恋人:裕貴30歳
職業:外資系戦略コンサルティングファームのコンサルタント
年収:1,500万円
出身:東京都
出身大学:東大
住まい:白金高輪のタワーマンション
家賃:30万円


表参道の大通りを少し逸れると、女子ウケしそうなカフェが所々に点在する。ヘルシーなスムージーやパンケーキを売りにし、日々行列を作る。そして、オシャレな街風景を彩るのに欠かせない年頃の綺麗な女たち。彼女たちなくして東京という都会の街は成り立たない。

「もう、しばらくは1人を楽しむことにしたよ。もちろん彼氏募集中だけど。」

自嘲気味な笑顔で、しかし軽快に報告する奈緒美。29歳。現役の大手航空会社のCA。

白い肌と長く美しい黒髪。真っ白なセーターとタイトなパンツというシンプルなコーディネートに、小さなブランドバックをちょこんと膝に乗せ、読みかけの小説を手で弄んでいる。

濃すぎず薄すぎない、自分の顔立ちの良さを最大限に引き出したメイクに、薄いピンクのネイル。独特の気づかいが目立つ立ち振る舞い。CAという職業の女は皆どこかしら似ている。

「あのひと?吹っ切れたとは言えないけど、もう大丈夫。考えないようにしてる。もう1年も経つし。」

20代前半から半ばまでは、より取り見取りだった


CAとは、今でも憧れる女が多い職業だ。

CAになれば華やかな仕事や生活が約束され、素敵な男性と出会い結婚ができる。そんなイメージはまだ根強い。実際、20代前半から半ばまで奈緒美に出会いの場は多かった。

今の時代、CAは一昔前ほどの倍率や希少性はないのかもしれない。しかし、空港であの定番だが目を引く制服を着こなし颯爽と歩き、機内では上品な笑顔を浮かべ優雅に接客する彼女たちに焦がれる男たちは少なくない。商社、広告代理店、外銀、ベンチャー企業の社長たち、また旬の芸能人など、奈緒美たちは魅力的な男たちに囲まれていた。

プライベートでも空の上でも数多の男たちから声をかけられ、奈緒美は東京という都会の楽しさを知った。若く綺麗な女がCAというブランド名を魔法の杖のようにかざせば、男たちは揃って好奇の目で彼女たちを見つめ、あの手この手で気を引こうとする。

親元を離れた自由な一人暮らし、憧れの仕事。同じように選び抜かれ、美しく洗練された同僚たち。

そして、そんな自分たちを崇める男たち。仕事では国内海外に飛び周り買い物や食事を楽しみ、休日には女友達からも男たちからも時間が足りないほど多くの魅力的な誘いを受ける。地元や大学時代の生活とは比べものにならない、奈緒美の東京生活は絶好調のスタートだった。

「今思えば、3年目くらいまでは、ほんとうにチヤホヤされて有頂天になってた。男の人にも女友達にも連れていかれる場所みんなオシャレで楽しくて。合コンの帰り道に初めてタクシー代って1万円を貰ったときは、私、このレベルまで来たんだなって胸がゾクゾクした。」

奈緒美も同僚の女たちも、そんな都会の暮らしに溶け込むうちに、東京の街を知り尽くし、目も舌も肥え、そして周りの男たちのレベルもどんどん上がっていった。彼らは奈緒美たちを次から次へと楽しく魅惑的な場所へ連れ出そうとする。

有名シェフのレストラン、隠れ家のようにひっそりとした鍵付きのバー、東京に新しく参入した外資系ホテルのスイートルームのパーティ。自分たちはその場を飾るに相応しい。女盛り。20代後半に差し掛かった女によくあるように、奈緒美も例外なく高飛車な女になっていった。それが許される身分だと自覚した上で。

甘いマスクのエリート・コンサルタントとの結婚という打算


26歳のとき合コンで出会った同い年の裕貴との関係は、ほとんど奈緒美の一目惚れから始まった。裕貴は外資系コンサルティング会社に勤めるエリートで、男にしては色素の薄い美しい肌と髪色が人目を引く、アイドルのような顔をした男だった。そのうえ実家は港区の資産家、国立大学まで出ている。

奈緒美は一目彼を見たときから、この男と結婚したら自分の人生は完璧なものになると確信した。

職業も育ちも、堂々とした振る舞いも甘い笑顔も、すべてが魅力的だった。この男と適齢期で結婚し、さらに自分のブランド力を高めたかった。奈緒美の次の目的は、自然と結婚に向いていた。

奈緒美は当時学生時代から腐れ縁が続いていた同級生の恋人にすぐに別れを告げ、幹事の友人に裕貴との仲を取り持ってもらった。

「あの人と結婚したら、また皆が私を羨ましがると思ったの。」

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