「嗚呼、これぞフグ」と吐息を漏らすぷりっぷりの天然ふぐ鍋3選

冬真っ最中――。鍋の本格シーズン到来だ。今が旬のふぐは鍋で食べるとよりいっそう滋味が溢れだす。その贅沢さに身も心も温まり、刺し身とはまた違った、プリプリとした食感を楽しむことができるのだ。

そこで「嗚呼、これぞ、ふぐ」と吐息を漏らすほどの実力店3店をご紹介。
今こそふぐ鍋の贅沢な美味であったまろう!

写真のふぐちり鍋は2人前。大胆なカットで食べ応えあり

ふぐの実力を思い知るこれぞ、ちり鍋の真骨頂『鴨川』

冬の味覚の王者といえば“ふぐ”。稀代の美食家北大路魯山人をして「ふぐのうまさというものは、実に断然たるものだ…」とまで言わしめた、その魔味とも言われるふぐの底力を教えてくれるのが、ここ赤坂『鴨川』だ。

創業から半世紀。先代の大菅正孝氏は、古き佳き向島の一流料亭で料理長を務めた技量の持ち主。その名残りは、ふぐと鱧のスリ身を合わせた“金箔新女”やふぐだしで作る“ふぐのだし巻卵”などコースを彩る趣向を凝らした前菜の数々からも伺える。

〆のふぐ雑炊。ここでは、一膳目は塩味だけでシンプルに、二膳目は茶碗に直接卵と雑炊を入れて作る。仕上げは鍋で卵とじに

とはいえ、主役はもちろんとらふぐ。築地を中心に、本場下関や大分からもマルで仕入れているそれは、「ウチは天然とらふぐのシロのみ。2㎏前後のものと決めています」。こう、きっぱりと語るのは、開店当初から先代をサポートしてきた女将の大菅孝子さん。自身もふぐ調理の免許を取得し、父君亡きあとは、女将稼業を続けるかたわら厨房に立ち、自らふぐを捌いている女料理人でもある。

捌いたふぐは、2〜3日寝かして程良く水分を抜き、旨みをしっかり熟成させてから客に出す。ややぼってりと厚めに引いたふぐ刺しは、淡麗にして雅味豊か。噛みしめるほどにジワジワと深い余韻が味蕾の奥底にまでしみわたるよう。何もつけずとも、十分に旨い。これぞ天然のとらふぐならではの底力というべきだろう。

この状態で客席に運ばれてくる。身欠きは使わずマルを仕入れている

だが、その真骨頂は、むしろ鍋にこそある、と実感するのが、同店の“ふぐちり鍋”だ。まずは、しゃぶしゃぶで小気味よいふぐの食感を楽しんだ後は、いよいよ真打ちの登場である。

唇、カマなど部位別に姿造りの様相で運ばれてくるそれはカットも大胆。これらをじっくりと煮込むうち、骨やアラから引き出されるエキスは、淡味でありながら濃密。この骨と身の際からにじみ出る玄妙なる味わいこそが、ふぐのふぐたる由縁。

試しにまずはひとつポン酢ではなく塩で味わってみてほしい。ちり鍋は、雑炊の前哨戦などとは言わせぬふぐの醍醐味を味わえるはずだ。

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