鮨業界に新興勢力!ここぞ!のために知っときたいコスパ高な鮨店6選

真っ当な江戸前鮨を出すお店となると料理と握りのおまかせ、酒を少々たしなんだとして、ま、おひとり3万円ちょっとは覚悟しておきたい。となると、自腹ではなかなかに難しい……。

ところが、今、若手職人の台頭とともに、1万5000円程度で、充分過ぎるほど満足できる店が増えている!

これまでも、そうした価格帯の鮨屋はあったが、かつて『あら輝』や『さわ田』が注目を集めた鮨ブームを彷彿とさせるほど、珠玉の顔ぶれがそろっているのだ。

そうしたなか、厳選したのがこの6店。「どこの常連になろうか」と大いに悩んでしまう。そんな鮨ワールドへいざ。

江戸前仕事とは、保存技術のなかった時代に“もたせる”ために培われたテクニック。これは本鮪漬け。切り付けた鮪を15 分ほど漬け込んでいる

路地裏で味わう真っ当至極の握り鮨『鮨わたなべ』

新たな店の進出に賑わう新宿・荒木町。かつての花街の風情が残る路地裏に、2014年6月にオープンしたのが『鮨 わたなべ』だ。扉を開くと、真正面に主人・渡邉匡康さんが迎えてくれる。

いまや貴重な木曽檜を使ったカウンターに、細かい仕様が見て取れる格子戸など、そこかしこに静謐な雰囲気が漂う。

「当たり前のことですが、旬の素材のおいしさを際立たせる仕事を心がけています」という言葉通り、仲買との深い付き合いはもとより、現地の漁港へも自ら足を運ぶ。

身質がよく、香り高い穴子はふっくらと。本日は小柴のものを使っている。「小さな船ですら近付けないような場所にいい穴子がいるんですよ」との話題も、美味しさに繋がる

さらには“追っかけ”をする素材(今年は雲丹)を決めて、従来の名産地以外の出会いを求めるなど、知られざる地の素材探しにも余念がない。素材を引き立たせるのは、特性に合った江戸前仕事だ。素材を触り、香りを確かめ、締める、煮る、茹でる、漬けなどを的確に施す。

だが一番大切なのはシャリと言う。口に入れると瞬時にほどける至福の時間。それを実感できる握りがここにある。

料理と握りの「おまかせ」のみで¥15,000。刺身は白身を2種、甲殻類を2種など、その差を楽しめる趣向だ。セイコガニと甘鯛の蒸し物には日本酒を合わせたい。「阿部勘 純米吟醸 亀の尾」や「町田酒造」など1 合¥1,000〜

店主の渡邉さん。日本料理店で修業ののち、客とまっさらに向き合える鮨の道に

荒木町は車力門通りの一角に佇む

三陸沖で獲れる鯖を使った〆鯖は、これから1月いっぱいまでが脂がのって旨さが際立つ

名店仕込みの技でタネの美味さを引き出す『鮨はしもと』

暖簾をくぐった瞬間、真新しい木の香りに包まれる。清々しいまでにシンプルな店内が印象的だ。橋本裕幸さんが店を開いたのは2014年12月のこと。

創業120年を誇る老舗『都寿司』で9年、そこから独立した兄弟子のもとで3年半の修業を経てのことだった。ふたりの師匠からは、「楽して旨いものはできない」と教えられた。

自身が最も好むタネだという光り物は、口の中で旨みがじわじわにじみ出る酢加減が自慢だ。また、熟成の進んだ鰤を仕入れ、数日かけて漬けにもする。一品料理の仕込みに3日以上かけることもあるのだとか。

牡蠣の味噌漬けは、チーズのような味わいの後から磯の香りが広がる。あん肝は日本酒との相性も抜群だ。料理6品と握り10貫が供される「おまかせコース」は¥13,000

「この1年間、修業先で身に付けたことをしっかり再現してきました。その仕事を守りつつ、これからは一品料理に工夫を加え、少しずつ自分らしさを出していけたらいいですね」と橋本さん。

まだ32歳。これからの成長ぶりを目と舌で確かめに、何度も通いたくなる店だ。

師匠から教わった江戸前仕事を忠実に再現する橋本さん。そのひたむきな様子が伝わってくる

ヒバの一枚板のカウンターが、清潔さをアピールする。この材は、2000年に鮨屋を営む父親が、実家店舗の改装のために丸太1本ごと手に入れたもの。その一部を譲り受けたという

“車海老といえばこのカタチ”にとらわれず、食感を重視した握り。ミディアムレアに仕上げた身に包丁を入れ、海老特有の歯切れのよさとねっとりとした口当たりの双方を瞬時に味わえる

思い溢れる空間で光る、気鋭の職人技『くろ﨑』

渋谷・宮益坂を上がり、路地に入ったところに佇む『くろ﨑』。扉を開けるとすぐには中が見えない設えだ。尾州檜のカウンターと特注の氷冷蔵庫、そして全面にちょうなをかけた焼き杉の壁など、そこかしこに店主の思いが込められている。

黒﨑一希さんは現在35歳。浅草、下北沢で17年間研鑽を積み、2015年2月に独立。江戸前を基礎におきながらも固定概念に縛られることなく、自らが美味しいと思うものを好きに出す。

つまみの一品。特徴的な歯ごたえの黒鮑茸を潜ませた茶碗蒸しの上に、北海道産バフンウニと有明産の海苔を出汁でのばした餡をのせる。口溶けのよさと芳醇な香りに感心させられる

黒崎さん曰く、「飽きっぽい性格ゆえ、決まったものを出すことが嫌い」「日々の仕入れ、仕込みのなかで、相性のいいものを組み合わせながら、つねに新しさを加えることが楽しくて仕方ない」とのこと。

渋谷という好奇心溢れる街と歩む店ならではである。供するのは「おまかせ」のみ。つまみ8種、握り13種を織り交ぜながらいただくのに酒は不可欠。日本酒、ワイン、スパークリングなどラインアップが豊富。好みを伝えれば、さらなる喜びを与えてくれるに違いない。

店主の黒﨑さんは、優雅で気品ある佇まい

店主の思いがすべてかなったという店内。奥には、つけ場のある個室カウンターがあり、席料なしで気兼ねなく利用可

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