女優とディナー Vol.1

女優とディナー:川口春奈は「忍者ディナー」で本当に口説けるのか?(1話読み切り)

――どうしてこのサウナの一言で場の空気が一変したのでしょうか?


これこそが今回あなたにお伝えしたい『恋の下準備』
「相手の好きなものを、本当に好きになっておく」


ディナー相手の美女の好きなものがあらかじめ分かっている場合、多くの人が「○○が好きなんだよね?」とたずね、さらに「俺も好きなんだよ」と言って「趣味が同じアピール」をしてしまいますが、本当にその対象が好きじゃないと、話していくうちに違和感が生まれてしまいます。

それを防ぐための方法が「あらかじめ、相手の好きなものを本当に好きになっておく」であり、私の場合、サウナに関しては特に好きでも嫌いでもなかったのですが、大宅文庫で川口春奈の


「お風呂でゆっくり浸かるよりも、サウナの方が好き。毎日通っていたこともあるくらい!」(an・an 2015.5.20号)


という情報を入手していた私は、ディナー当日、『NINJA AKASAKA』に到着する1時間前から、『サウナリゾートオリエンタル赤坂』でサウナに蒸され「サウナで汗をかくとお腹減るからごはんおいしくなるなぁ……」などとつぶやきながら、自分をサウナ好きに洗脳した上でディナーに臨んでいたのです(実話です)。

こうすることで「最近、サウナ好きになっちゃって」の言葉に本音という名の魂が宿り、また「そこまで徹底的に準備した自分」への陶酔も相まって、自信を持ってサウナの話題を振ることができたというわけです。

そもそも、世の中で誰かが絶賛しているものが、仮に好きじゃなかったとしても、それは食わず嫌いだったり、先入観によって好きになれなかったりしている場合がほとんどなので、


「相手の好きなものをあらかじめ好きになっておく」


という恋の下準備は自分の世界の幅を広げるという意味でもお勧めです(実際に、私もこの原稿を書き終えた褒美として新橋駅前のサウナに行こうと考えているくらいサウナ好きになりました)。

ただ、川口春奈とサウナの話題で盛り上がったとしても、


「春奈、今度一緒にサウナ行こうよ」は決してならない


ので、結論としては、川口さんの大好物である「お肉」「タイ料理」あたりを好きになっておくべきでした(ちなみに川口さんはパクチーは食べれないので、川口さんとデートする前には、タイ料理好きになり、かつ、パクチー嫌いになっておくこと)。

こうして後半に空気を盛り返しつつディナーを終えた私ですが、店の外で川口さんが去っていくのを見送ったあと、全身が脱力して、その場にへたりこみました。


(この連載続けたら、ストレスで確実に精神が崩壊する――)


そして、私は疲れた心を癒すべく、本日二度目の『サウナリゾートオリエンタル赤坂』に向かったのでした。【完】

■プロフィール
川口春奈
1995年、長崎県生まれ。女性ファッション誌にて専属モデルとしてキャリアをスタート。来年には『クリーピー』『にがくてあまい』という2本の映画の公開を控える実力派女優

水野敬也
1976年、愛知県生まれ。『夢をかなえるゾウ』シリーズは300万部、『人生はニャンとかなる!』シリーズは180万部を突破する、人気タイトルを多数持つ作家

■スタッフクレジット
Photos/Kazuhiro Fukumoto@MAETTICO,Styling/Akira Maruyama【kawaguchi】,Shinya Nakanishi【Mizuno】,Hair&Make-up/Takuma Itakura@nude.

■衣装
川口●ブレスレット¥385,000、リング¥950,000〈ともにブルガリ/ブルガリ ジャパン☎03-6362-0100〉
水野●パーカー¥23,000〈エストネーション☎03-5159-7800〉

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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