ひと晩かけ1滴ずつ抽出する30年以上続く名物コーヒー『山の上ホテル』
御茶ノ水
3秒に1滴しか落ちないコーヒーは、出来上がるまでに12時間以上をも費やす。
しかも空気や水圧で中の様子も変わるので、こまめに見守っていないといけない。
水出しコーヒーの機械はアナログで効率が悪いのだ。それでも水出しを採用しているのは、同ホテルが“人の手を介して作るもの”にこだわっているから。
もちろん、水出しならではの仕上がりにも自信をもっている。球体の中にセットされた氷は少しずつ溶け、その氷水はコーヒーの酸化を極力抑えることができる。
結果、渋みや雑味のないコーヒーが出来上がるのだ。優しくゆっくりと落ちる水滴は、挽いた豆に刺激を与えないので、クリアでいて濃い味にも仕上がる。そんなコーヒーはウェッジウッドはじめ一流の陶磁器に注がれ振る舞われる。
そう手間暇のかかった贅沢な1杯は、700円とホテルにしては良心価格。サービス料はとらない。
その背景には、“地域のみなさんにも愛される場所に”というホテルの信条があり、その姿勢がまたこのコーヒーを美味しくしてくれるのだ。
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