汐留タラレバ娘 Vol.4

汐留タラレバ娘:34歳独身女、久しぶりの「女の子」扱いに、脳内ファンファーレが鳴り響く!

前回までのあらすじ

独身34歳3人組、アキコ、貴理子、なお美。化粧品会社で、経理課長代理として働く島田アキコは、仕事もそこそこ順風満帆だが彼氏はいない。そして3人揃って左手薬指の予定もない。後輩の結婚式の帰りカラオケで盛り上がった同じ会社の営業部のエリート・玉置からデートに誘われる。しかし、玉置は「最後の独身男」として女性たちから絶大な人気を誇る男だったのだ・・・

前回:34歳女。デート相手のFacebookに滲み出る「現役バリバリ感」の破壊力

玉置孝太郎とのデート日程はトントン拍子に決まった。

「あまり寝かせすぎるのも自意識過剰でダサい」となお美にアドバイスを受けたアキコは、その夜、日本酒で赤ら顔になりながらオフィスに戻ってメールを返した。「文面は極力シンプルに」という貴理子の指摘で一言「ぜひ!鍋食べたいです。」

営業のできる男はレスが早い。深夜にもかかわらず5分後に返信が来て、10分後には、日程が決まった。

久しぶりの「デート」に胸が高鳴り、帰り道なお美と貴理子にLINEをすると、すぐさま「うおぉぉぉ」とか「うぎゃ◯×△※☆」とか30すぎた女がまるで使うべきでない暗号が槍のように降ってきて、携帯から五郎丸がトライを決めた時のような歓声が聞こえてくるようだった。アキコは、秋風が冷たく染み一人寂しいはずの帰り道だったが、くすくすと笑いが漏れた。体がポカポカとするのは、日本酒のせいではないはずだ。






約束の時間20時ぴったりに玉置はやってきた。
(緊張のあまり、アキコは、1時間も前に到着してミッドタウンのトイレに3回も行って化粧を直した。)

玉置が指定した店は、六本木にあるきのこしゃぶしゃぶ専門店『シャングリラズシークレット』。ツボのような鍋に30種類の天然キノコを秘伝の手法でじっくり煮出した宝茸黒湯というブラックスープのインパクトは抜群だ。

「東京カレンダーに載ってて、来てみたかったんだよね。」

そう言って目の前にいる玉置はダークグレーのスーツ。きちんとした生活の裏付けのようにスラックスはセンタープレスの線が地面に垂直に伸びていて、ネイビーと煉瓦色のストライプのネクタイは、若造じゃ着こなせない渋みを醸し出している。玉置の胸板は厚く、少しだけ窮屈そうなボタン。その厚みはそのまま女を抱く時の力強さを連想させてアキコを赤面させた。

「とりあえず、ビールでいいかな?」アキコがうなづくと、丁度通りかかった店員に注文を伝え、乾杯をした。


ー会社の男性とのごはんは苦手だ・・・ー

女の顔をしていいのか、愉快な仲間の顔をすべきなのかポジションがとれない。最初はとりあえず、無難に愉快な仲間になるのが正解なんだろうか。

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