銀座で瀬戸内海の幸と広島の銘酒で上機嫌になって土鍋鯛飯で締める名店

多島美で知られる瀬戸内に、芸術と柑橘類の島・生口島はある。この島で半世紀以上もの間、旅人を癒してきた老舗『住之江旅館』。その4代目にあたる大谷やすふみ氏は2010年、華やぐ銀座8丁目に店を構えた。 瀬戸内海ならではの海の幸をたっぷりと堪能できるお店がこちら。

鯛飯(写真は3合・6人前)

素朴で繊細な瀬戸の美味を銀座で
『瀬戸内料理 すみのえ』

「穏やかな気候と複雑に入り組んだ海底が育んだ地元の美味しい海の幸を、東京の方にも召し上がっていただきたくて」と、大谷氏は語る。

白と黒と茶を基調とした店内は、壁の和紙や木が柔らかな印象。「和食とはいえ、肩ひじ張らずにお食事を楽しんでいただければ」という心遣いを体現した意匠だ。

アコウ(キジハタ)の煮つけ

食材の輸送にもこだわり、新鮮な状態で瀬戸内から空輸された魚介は、それぞれの身の味に応じて炊き方を変える。

出汁と身の両方を美味しく、バランスよく炊くのは至難の業だが、大谷氏は飄々とそれをやってのける。希少なアコウ(キジハタ)の煮つけなど、食べた瞬間、相好を崩してしまうほどの旨さ。

温かみのあるチェリーオークのカウンター。大谷氏は、生家や『吉兆』で研鑽を積み、2010年の2月に『瀬戸内料理 すみのえ』をオープンさせた

瀬戸内海の幸と広島の銘酒でいい気分になったら、土鍋で炊いた鯛飯で締めよう。

鯛飯用に引いた、旨み成分たっぷりの白濁した出汁と研ぎや水切りにもこだわった米を、土鍋でひとつひとつの米が立ち上がるように炊き上げる。その旨さは、お米の国に生まれてよかったと感謝したくなるほど。

上から茶豆、とうもろこしの醤油焼き、ほおずきトマト、冬瓜の醤油餡かけ、ぎざみの南蛮漬け

太刀魚の塩焼き

真鯛、タコの活造り、伝助穴子の焼き霜造り

尾道産白桃で作ったシャーベット。料理はすべてコースの一例

満足げに帰路につく我々を、姿が見えなくなるまで見送る大谷氏。心尽くしのサービスも気持ちよく、再訪を誓いたくなる一軒である。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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