今回、水原希子さんのインタビューが行われたのは虎ノ門ヒルズにあるホテル『アンダーズ東京』の『ルーフトップバー』。“型にハマらない”のがヒップだとすれば、東京の空に限りなく近い52階で、鮨×カクテルといった変化球的な合わせ技を体験させてくれるこちらは、それを具現化したような空間だ。
窓際に腰掛けて東京を一望すれば自ずと気分が盛り上がる。恐らく水原さんもそうだったのだろう。我々は見てしまった。スタンバイしている彼女が握りをコッソリ口に入れる瞬間を。その表情があまりに無邪気だったので突っ込みを入れると、彼女は決まり悪そうにはにかんだ。
「一貫ぐらいならバレないと思ったんですが(苦笑)。鮨には目がなくて、じつは昨晩もつまんだばかり。休暇先のハワイから帰ってきたら、お決まりのように恋しくなっちゃったんです。日本の食は繊細ですよね。例えば魚にしても味がしっかりしているし、白身、赤身、貝類と種類が豊富だから、ほんの少しのワサビと塩、醤油だけでいくらでも変化を楽しめる。食は細いくせに食いしん坊な私にはありがた過ぎる環境です(笑)。今日の撮影のようにカクテルと合わせるのは新鮮。普段は日本酒と一緒に味わうことが多いので、新しい発見でした!」
鮨を通じて東京の楽しみ方に改めて開眼した様子の水原さん。仕事柄、海外に多くの友人を持つ彼女は、来日する彼らをアテンドする際にも、よく東京の“ 懐の深さ”に感心させられているらしい。
「ベジタリアンだったり、豚肉を食べられなかったりと偏食が多くて、店をアレンジする私としてはケアするのが大変。でも、東京にはゲストの好き嫌いを尊重してくれるレストランが充実しているから本当に助かっています。これは東京に住んでいると珍しいことではないような気がしますが、外国人は心を打たれるみたいですよ。モデル仲間の一人は言っていました。『東京はクール。僕は東京と恋に落ちたから、東京に移住することにした』って」
また、日本人らしい気配りを物語るエピソードとして、水原さんは、某ラーメン屋での体験を引き合いに出してくれた。
「ある日、『一蘭』という店に入ったんです。あそこはすごいですね。カウンターの席ごとに仕切りが設けられていて、隣に座るお客さんや店員さんと顔を合わせない仕組みになっている。
あんな発想の店は海外で見かけたことがありません。斬新すぎて最初は面食らいましたが、結果的には食べることに集中できて……きっと繊細な日本人ならではの配慮でもあるんでしょうね」
過度なサービスを好まず、なるべく自分のペースを保ちたいという水原さん。ここぞというときはホテルで鉄板焼きなどを味わうこともあるそうだが、瞬時に空気を読み、目の前に座る人間に応じて距離感を調整するという接客も「東京的」と感じているようだ。
料理もサービスも選択肢が広く、“型にハマらない”。これが、今の東京を象徴するキーワードなのかもしれない。
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