個性派名店が揃い踏み!外さない東京の中華12選

ワタリガニのネギショウガ土鍋煮込み(2人前)。ワタリガニの甘みが優しい佳品だ。メニューは一例

ベーシックでいて味わいはモダン。広東料理の底力を示す実力店『海鮮名菜香宮』

六本木

本格はの広東料理『海鮮名菜香宮』。西麻布は星条旗通り沿い、ひと際目を引く白亜の建物がそれだ。「食在広州」の言葉もあるほど食材に恵まれた広東の地。

そのあっさりとして穏やかな味わいは、日本人にも親しみやすい料理として知られているが、中でも、ここでは、店名に示すが如く、“海の幸”に特化。身体に優しい上品な広東海鮮料理の粋を堪能させてくれる。

黄ニラとツブ貝の炒め(2人前)。エシャロットとにんにく、しょうが少々と炒める。メニューは一例

厨房を預かる料理長は、あの『赤坂璃宮』出身。篠原裕幸氏は、本場香港まで遊学、都合2年に亘り研修を重ねた若年の実力派だ。

生み出す料理はベーシックながらも味わいはモダン。聞けば、店で扱う魚介はすべて築地まで足を運び、その目で吟味したものばかりだ。それも、銀座の有名鮨店と同じ仕入先というこだわりよう。鮮度の良さは推して知るべし、だろう。

紹興酒漬けにした生の牡丹海老は、ねっとりと甘く鼻腔を抜ける紹興酒の香りもふくよか。

アマダイの蓮の葉包みごはん(1人前)。上質の甘鯛が入った時の日替わりメニュー。メニューは一例

絶妙のタイミングで蒸し上げた活けの毛蟹やワタリガニは、旨みを閉じ込めるためにふりかけた卵液の柔らかな舌触りとともに、カニ本来の芳醇にして淡麗な味わいを存分に楽しませてくれるはず。

一方、高価な金華ハムを贅沢に使った蒸しスープ“頂湯”をじっくり煮含めた、ふかひれの姿煮込みも、名物のひとつ。“頂湯”の深奥な味わいは、広東料理の底力と料理人の引き出しの多さを感じさせるに十分だ。

また、締めを飾るデザートも秀逸。イチゴや柑橘といった旬のフルーツを使ったそれは、フレンチ顔負けの出来栄えだ。

柑橘類のデザート。和歌山の文旦を使ったフレンチのデザートを思わせる華麗なひと品。文旦の下には、はちみつのプリン、まわりにはちみつのジュレが。メニューは一例

ワインはフランスを中心に100種余りをストックしている。グラスワインは日替わりでお手頃価格。メニューは一例

畑直送!彩々野菜炒め。味つけは、塩とにんにくのみ。あえて大きさを切り揃えず、有機野菜それぞれの持ち味をダイレクトに伝えるスペシャリテ。メニューは一例

四大料理に加わる新ジャンル「東京チャイニーズ」ここにあり『くろさわ東京菜』

大森

「だって、日本人だし」ふとした会話の中で際立って聞こえたのは、その言葉だ。大森に開業した『くろさわ東京菜』は店に入っても、メニューを見ても、中国料理店なのか、惑う。

出された皿を見ても、場合によっては料理を口にしても、謎が解けないこともある。スペシャリテは野菜炒め、麺料理は置かない、エビチリは夏トマトのシーズンだけ。餃子は時々、出すらしい。

店主は黒澤篤也氏。調理師学校卒業後、三笠会館の数寄屋橋『ブオーノ・ブオーノ』で料理人のキャリアをスタートさせた。「当時はイタリアン全盛。学生時代、中華の授業はさぼってばかりの記憶がありますね」

ウマズラハギ中華風カルパッチョ。青葱、花椒、しょうがを細かく叩き、醤油や酢などで味を調えた「椒麻」ソースで。メニューは一例

そう笑う彼は、数寄屋橋と名古屋で合計6年修業。名古屋時代、中華に興味が移り、東京に戻り中国料理店に異動する。料理ジャンルを超えた転属は創業以来初。だが訳あって程なくその店を辞す。

中華を本格的に身につけたのは、横須賀『煌蘭』での7年半だった。中華に邁進するかと思いきや、神宮前『ラ・グロッタ』で2年シェフを務め、蒲田『聖兆』で中華に戻り、5年、料理長として働いた。

ふたつのジャンルを行きつ戻りつした人生だが、今の店にはそれらが随所に顔を出す。野菜ではなく、野菜の「味」を食べる皿のスタイルは『ラ・グロッタ』時代の寺内正幸氏から学んだ。8割が産直という有機野菜の生産者との付き合いは、この頃に培った。

まぐろホホ肉の煮込み。広東省のたまり醤油、紹興酒、三温糖で煮込む、とろみあるソース。メニューは一例

料理のボーダレスな空気感は、蒲田『聖兆』の前田精長氏との5年間で有形化した。素材の味を活かすため、調味料は極力控え、使うものはできる限り手作り。

中国各地の料理手法や食材を尊重するが、それだけに寄りかかりはしない。「中華は十分に、日本で独特の発展をしたじゃないですか。『現地の味を』なんて無理する必要は、もう無いですよ」

日本人なのだから――。同じ言葉を、前田氏からも聞いた。「東京菜」とは、東京料理の意。間違いなく美味しいのだから、人まね小猿は、もうおしまい。

飼育方法、環境に惚れ込んだ、湘南"みやじ豚"の蒸し豚。メニューは一例

左からターリー・ジンファンデル"ムーア・アースクエイク・ヴィンヤード"1997、カレラ・ロゼ、レ・ヴュー・クロ ニコラ・ジョリー。メニューは一例

料理道を邁進する黒澤篤也氏

内装も「中国料理店らしからぬ」シンプルさ。花器として使う急須や箸置きにわずかに「らしさ」を

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