2015.07.31
板前の手さばきに、自信にも似た素材の追求、そして、腕を楽しみながら会話を交わす……。ある種の緊張感が心地良い、和のカウンター。張り詰めた空気のその先に美味の醍醐味がある。
鮨と割烹、どちらも欲張りたい板前ラヴァーに
『西麻布 かみくら』
我が国においてカウンターのある店といえば、鮨と割烹が代表選手。何しろ、その世界では料理人を「板前」、シェフを「板長」と呼ぶのだから。
語源としては板=まな板を指すが、この際意味を拡大してカウンターのこととしよう。その前で仕事をするのが「板前」で、その長が「板長」。
彼らの仕事はお客様にお見せすることが前提となっているゆえ、包丁を引く、シャリを握るなど、その所作の一挙手一投足にまで美しくあることが求められる。刺身のツマを秒速で千切りにする。握った鮨を皿に置く指先まで意識を張り巡らせる。
人の視線で磨かれた職人の技は、まるでアート作品を観るような感動を呼ぶ。カウンターがライブステージに例えられる所以だ。
だから、むしろ、カウンターに座りたいがために鮨と割烹を選んでしまう板前好きも多いのだ。今日は鮨か、それとも割烹か。どちらの「板前」に席を取るか、迷った時は『西麻布 かみくら』へ。おまかせコースにて、その両方が味わえる。
店主、上倉孝史氏は銀座の老舗などを経て、2011年7月に独立。和食の板前と共に鮨と日本料理からなるコースを出している。
先付で軽くウォーミングアップしたら、まずはさっぱりと白身の造り。熱々のお椀でお腹をほっこり和ませ、いよいよ握りの第1弾。パンチの効いた春子や昆布〆など〆もので江戸前の仕事を披露。
さらに箸休めのイカ。その後、ワインにも合う焼物、サザエの香草バター焼きのような変化球を挟み、赤身、中トロ、貝……。最後のデザートまで、名ピッチャーの配球のごとく、緩急自在な流れが続く。
クライマックスは中トロだ。ある日、握られたのは青森の大間産。ブレンドした赤酢の酸味がキリッと立ったシャリが、きめ細かくトロッと脂ののった中トロと同時にフワッと口の中で消えていく。
最上級のネタと人肌に管理されたシャリ、そして熟練の手業あっての至福の瞬間。それは「板前」にのみ降りてくるひと時である。
この記事で紹介したお店
西麻布 かみくら
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