2015.06.22
2015年上半期の独立開業シェフまとめ Vol.12015年も、はや残り半年。今年はキラ星のごとく現れたスターシェフの豊作年である。
ということで2015年上半期のスターシェフ総括として、東京カレンダー的有名店から独立した、今後予約が取れなくなる(もう取れないところも!?)青田買いならぬ青田喰い店をピックアップした。
ENZINE
まずは、神楽坂の中華からいこう。
神楽坂といえど、地元民もほとんど通らない隠れ路地。その一角に、2015年2月1日にオープンした『ENGINE』(エンジン)は、中華好きにおなじみの赤坂の名店『うずまき』で長年シェフを務めた松下和昌シェフの店だ。
黒板に並ぶメニューには、冬ならふぐや牡蠣、春には山菜など、和の食材が見て取れる。
「中華料理にはない季節感を日本の食材を使って表現したい」という松下シェフ。食材の香りや味を繊細に引き出す料理は、紹興酒はもちろんのこと、ワインや日本酒ともすんなりなじむ。
自由闊達なコース構成は、五感で旬を感じさせてくれる。
『うずまき』
https://tokyo-calendar.jp/article/1203
Celarabird
「世界ベストレストラン50」で幾度となくトップを獲得し、世界のレストランシーンのトップを走る『noma』や、それを追うスペインのガストロノミーの特徴の最たるものといえば、地元のナチュラルな素材を用い、ハッとするプレゼンテーションでみせること。そこには美味しさは言わずもがな、“新感覚の体験”があり、客たちはそれを求めて料金を支払う。
そんな体験を東京で体験できるガストロノミーが、2015年1月20日新たに誕生した。その店、『Celarabird』(セララバアド)の橋本宏一シェフは、スペインの『El Bulli』(エル・ブリ)や『Martín Berasategui』(マルティン・ベラサテギ)などカリスマのもとで修業を積み、前職はマンダリンの『Tapas Molecular Bar』(タパス モラキュラーバー)料理長という実力派。
新店開業前には『noma』(ノーマ)も経験し、その際に橋本氏が試作品としてこのオリーブを粉末化したものを使ったソースや、セロリをペースト状にして薄く伸ばし鶴に折った“セロリの折り鶴”は、厨房のスタッフからも好評価を得たひと皿だとか。
そんな気になる一品も含めたこの店のディナーコースは、なんと¥6,800!この分野では異例の価格設定であり、新たなニッポンの食の魅力を開拓し、またサプライズも期待したい人にはこれまでにない良店なのである。
『タパス モラキュラーバー』
https://tokyo-calendar.jp/article/3177
Abysse
最後は、2015年3月15日オープンの魚特化型フレンチ『Abysse』(アビス)。
フレンチで魚のみのコースと聞くと、どんなものを思い浮かべるだろうか。ポワレ、コンフィ、ムニエルなどなど、枚挙に暇はないだろう。だがここの料理についていえば、すべてが貴兄の想像もつかないような味で構築されている。くしくも魚ビストロや魚バルなど魚介に特化した店が目下大人気である。
しかし想定外で異色のメニューがここ『アビス』で具される。
あの『restaurant Quintessence』(レストラン カンテサンス)で修行した目黒浩太郎シェフが魚に惚れたのはマルセイユでのこと。三ツ星レストラン『Le Petit Nice Passédat』(ル プティ ニース パセダ)で感銘を受けて以来、魚料理は目黒シェフにとって揺るぎないテーマとなり、今春、ようやく待望の独立を果たした。
アミューズからメインディッシュまで魚を主役にしたスタイルを貫き、なかでもスープ・ド・ポワソンは、自身が修得した知識や技法をベースに、各々の魚介の複雑な旨味が緻密に構築され、直截的なスパイスが彩るスペシャリテにふさわしい一皿。
abysseとはフランス語で“深海”。好奇心に満ちた目黒シェフの、深海のような無限なる可能性を感じる諱である。間違いなく今後、予約が取れなくなる若手独立シェフの店になるだろう。
ヘルシーかつインパクトのある魚のコースは、食の経験値が高いあのひとこそ、連れて行きたい。初めて経験する味に出会えるはず。
『restaurant Quintessence』
https://tokyo-calendar.jp/article/2322
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
この記事で紹介したお店
アビス
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