やまとなでしこ 2015 〜極上の結婚〜 Vol.4

やまとなでしこ2015 「昼は淑女、夜は娼婦」じゃ落とせない。極上男の攻め方とは?

前回までのあらすじ


27歳の桜子は「(並みの)結婚をした女は負け犬」と考え、持ち前の美貌と教養とセンスで「極上の結婚」を狙っている。某企業の次期社長のポジションにいる交際相手・隆弘を手堅く押さえつつ、更なる高みを目指し、同期の美穂が組んだ飲み会に向かう。殿方たちは、最近メディアに引っ張りだこの若き経営者・国分与一を筆頭にした起業家たち。上場時のキャピタル・ゲインで、莫大な資産がある国分を前に気合が入る桜子たちだが・・・

極上な結婚相手候補?!いい男は10万円の美容液より女を潤す?

『かどわき』の扉を開くと、着物を丁寧に着た仲居さんから個室に通された。ほんのりと木の温もりと香りが心地よい。

すでに男性陣はお揃いだ。

国分は、メディアを通して見るよりも色白で小太りで、青髭が年より上に見せている。冷房が効いた快適な店内に似合わず額にはじっとりと汗の粒が吹き出ている。恐らく瞳だったら「えーお金あっても、気持ち悪いですぅ」と言って退けるだろう。桜子は、瞳を思い浮かべながら諭すように考える。

—見るべきは、顔じゃないのにねぇ・・・—

視線を落とし、男たちの腕へスライドさせる。ピカピカのパテック フィリップに、ウブロ、オーデマ ピゲと実にぐっとくるラインナップだ。桜子の一舐めの視線の後に絡ませた美穂と香織の目線に共犯者めいた微笑で応じる。

「今日はお招きいただきありがとうございます。」

国分の白いシャツの腕もとはホワイトゴールドのカフスが光っている。その光に負けじと、桜子の瞳に大胆不敵な光が宿った。


役者が揃い、Asatsuyuが注がれたグラスを傾け乾杯した。

『かどわき』の料理は、贅沢な食材をふんだんに使い、それをさらに高みに昇華させる匠の技だった。甘いトウモロコシの旨味に加え、たっぷりのフォアグラとトリュフが混じり合ったトウモロコシとフォアグラの茶碗蒸しに、思わず感嘆のため息が漏れる。

旬を巧みに操り、素材の良さを最大限に引き出した秀逸なお料理を舌で十分に堪能しながら、国分の周りにいる男たちのグルメ談義をニコニコしながら馬耳東風と聞き流していた。

「移転してからのフロリレージュは、さらに凄みが増したよ。けど、シェフがイケメンだから、好きな女の子は連れて行けないな。」

「そういえば、京都の未在はもう行きましたか?箸休めに出た鱧と松茸の茶碗蒸しが絶品で忘れられないんですよね。」

美穂と香織は、「えー!すごい!」「さすがですねぇ!」と感嘆句のオンパレードのオーバーリアクション。

女のさしすせそと俗に言われる「さすが!」「しらなかった!」「すごい!」「センスある!」「そうなんですかぁ!」これらのワードは確かに並みの男には使えるが、市場価値が高く自尊心が満たされている男たちには、軽薄そうな印象を与えるものだ。

極上の男には、モナリザのような微笑をたたえ、マリリン・モンローのような沸き立つ色気を醸し出し、キャサリン妃のような理知的な印象で決めるべきだ。

桜子は、騒ぎ立てている小鳥のような二人から一歩下がって言葉を慎み、国分の隣に陣取っていたグルメな経営者がトイレに立った隙を見てしなやかに席を移動した。

そして、国分の隣に腰を下ろすと、静かに微笑んだ。

昼は淑女のように夜は娼婦のようにとよく言うが、それで落とせるのは中の中まで。朝は淑女、昼は才女に、夜は娼婦のように。

ここから先は、三段論法を黄金バランスで打ち立ててこそだ。


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