広尾界隈でよく見られる客層のひとつが、経済的に余裕のある女性たちの会。
20代から仕事が順調で早くから食通の彼女たちが好むのは、銘醸地のワインがそろう実力派フレンチ『au deco(おでこ)』だ。
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明治通りの南側は大人レベルがさらに深まる
広尾に自立した女性が集まるのは、実はここ20年ほど変わらない。
平成ではビストロ『ラ・ピッチョリー・ドゥ・ルル』がそんな女性たちを呼び、令和のいまは同店跡地のフレンチ『au deco』が新たな舞台に。
女性のふたり組がそこで近況報告をしたり誕生日を祝ったりしている。
彼女たちは、入店してすぐ目につくシャンパンクーラーに安堵する。
横たわるのは、グラスで提供する“シャルル・エドシック”。
広尾の費用対効果とは、お手頃価格ではなくセンスに基づき、その泡酒の選びは十二分なのだ。
イラスト付きメニューの内容が、大人をさらに高揚させる。
ポール・ボキューズ風、ピルピル仕立て、パイ包みなど、食べ慣れた人が思わず反応する言葉が並ぶからだ。
シェフは料理に合わせ常時10種のフォンをクラシックの技法でとる。
シェフの嶋瀬 悟さんは、箱根の伝説的オーベルジュ「オー・ミラドー」の勝又 登氏やその世代に憧れフレンチの世界に入り、箱根で修業。その後も古典を大切にする店で腕を磨き、味の基本となるフォン(出汁)を丁寧にとる。
前菜の「カリフラワーのムースとコンソメのジュレ ウニ・イクラ・キャビア」(¥4,180)にもその心が表れていて、王道のコンソメに珍しくも和牛を使い、和牛ゆえにかかる手間も惜しまない。
クリアでリッチなコンソメとカリフラワーの優しい甘さ、魚卵の旨みが出合い、ブルゴーニュの白が進む。
これぞフレンチといった調和が、広尾女史の機嫌を序盤から上げるのだ。
初代シェフより引き継ぐ開業時からのスペシャリテ「ズワイガニと蟹味噌のスクランブルエッグのパイ包み焼き」¥5,830。
カニのむき身やみそ、帆立などが重なり、オマールをベースとしたソースも含め、総合的に深い味わい。ここでも甲殻類の出汁をいかに緻密にとっているか感じられる。
パイの香ばしさと食材の旨みが一体化。そこに熟成感のあるワインがはまり、広尾をもっと好きになる。
食中はもちろん、食後も古酒を片手にゆっくり語らうのがお決まり。
古酒ボトルワイン¥35,200~。
その誠実さと洗練の味わいに気付いているのが、ここに集う大人なのだ。
マダムに聞いた!「広尾の2軒目」
仕事終わりに時々行くのは『意気な寿し処阿部 広尾本店』。
「日がまわった頃に伺い、白身や貝類のお刺身をつまみながら日本酒を。深夜なので少し軽めに、最後に5~6貫握っていただきます」
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