A2:すべてが自分本位。モラ男の都合のいい解釈に完全に冷めた。
二度目のデートも、恵比寿だった。雄大の行きつけだという鮨店に連れて行ってもらったのだけれど、席に着くと、雄大は大将に軽く声をかけた。
「今日は大事な人だから、いいネタ頼みますよ」
大将は苦笑いしていたけれど、この一言から始まり…。この二度目のデートで、彼に感じていた違和感がハッキリと形になっていくことになる。
まず、注文する際、私のオーダーを勝手に決めてきた雄大。
「大将、二名分おまかせで。あと追加分も、いつものでお願いします。麻里子ちゃんの分も、僕と一緒の物で」
「あ、そういう感じなんだ」
「うん。ここは、美味しいものしか出さないから安心して」
― いや、そうじゃなくて。私の意見は?
そもそも、この時点で言いたいことはあった。せっかくならば、自分の好きなネタを追加では食べたい。
しかし心の中で、葛藤もある。
― 今日はデートだし、雄大さんの行きつけのお店だし…。ここは顔を立てるべきなんだろうな。それに、雄大さんのお支払いだったら、私に言う権利はないし。
そう思ったので、黙って従うことにした。
しかしお会計になった時、私は耳を疑ってしまった。
「そうだ、今日は割り勘にする?この前女の子の友人に、『男が全部払うのは失礼だ』って」
一体誰に何の意見を聞いたのだろうか。
“女の子の友人”とは、誰なのかもわからないけれど、その女性が言いたいことと、雄大の解釈はまったくかけ離れている。
「そうなんですか?もちろん私は割り勘でも大丈夫ですけど」
割り勘でも、構わない。
しかしそうならば、好きな物を自分で選んで食べさせて欲しい。
割り勘とは、そういう“自由を手にする権利”との引き換えのようなもの。
雄大のいう“割り勘”とは、スジが違う。
これでは、雄大の自分勝手な行動に付き合い、ただ私がその分のお金と気遣いまで払った形だ。
店を出ると、雄大はさらに続けた。
「次は、もう少し遠出とかもいいかもね。箱根とか?泊まりじゃなくてもいいから、美味しいご飯だけ食べに行く旅とか最高じゃない?」
「贅沢な大人のプチ遠足って感じですね」
「そうそう!じゃあ、日程見て連絡するね。僕の方で店探しとくよ」
私の予定も、私の希望も一切聞かれないまま。また一つ“決定事項”が増えていく。
― この人と付き合ったら、私の意見なんて一生反映されないんだろうな。
そう悟った瞬間、もう答えは出ていた。とにかく早く帰りたくて、話しながら自分で配車アプリでタクシーを手配し、さっさと乗り込んだ。
これで2軒目へ行く流れになったら、最悪だ。時間の無駄もいいところだから。
「じゃあ雄大さん、また」
「また」と言ったのは、完全に社交辞令だ。本心では、もう二度と誘われたくないと思っていた。
お会計の時だけ、急に男女平等を持ち出してくるくせに、店員さんへの態度も、メニューの決め方も、次の予定の決め方も私の意見なんて全く聞かず、全部彼が一人で決めている。
都合のいい時だけ対等さを持ち出して、それ以外は完全に自分が上に立つ。
これこそが、雄大の本質だと思う。
会計は割り勘でいいと思っている。それは本当に、私も対等でありたいから。
でも、自分にとって都合のいい部分だけ平等を掲げ、他のすべてを一方的に決めていく男の人は、モラハラ気質の人間だと思う。
今は良いかもしれないけれど、この先何十年も一緒にいたら、私はきっと自分の意見を言うことすら諦めてしまう。そう思ったら、怖くなるし、シンプルに人として終わっている。
だから私は、既読はつけても返信をしないことに決めた。
▶【Q】はこちら:「まだ22時半なのに…」盛り上がっていたデートでも、女性が1軒目で帰る心理とは?
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT:9月19日 土曜更新予定
出会って三度目のデートで、男が見た女の“豹変”とは?







この記事へのコメント
コメントはまだありません。