その頃の記事をともみも覚えている。実家から出てくるYUMEを盗撮、さらにYUMEの両親や親族がYUMEの休業の理由を語った…というタイトルの記事もいくつか出た。
「両親には、派手な世界に疲れたから辞める、としか伝えてなかったんです。整形が理由で歌えなくなったとは、親…特に母には絶対に言えなかった。
整形を、私は母に事後報告しました。やる前に相談すれば、絶対に許してもらえないとわかっていたから。デビューするまでは実家にも帰れないって伝えて、ごまかしていたんですけど…でもプチ整形って感じじゃなく、輪郭も目もだいぶ変わってしまったんだから、隠し通せるわけはない。
デビュー後の私の顔を見た母はすごくショックを受けて。整形がダメだというわけではなく、母に黙って整形した、ということにです。問い詰められるうちに、整形をしなければデビューできないって言われたのだから仕方なかった、って勢いのままにぶつけてしまった。
母はもう……怒り狂ってしまって。違法で整形をすすめるような大人がかかわってるなら、今すぐ辞めなさい、辞めさせると。私は泣き叫びました。オーディションに落ち続けてきて、ようやく手に入れたデビューなの、私の夢を壊すのはやめてと懇願して、なんとか活動を続けることを許してもらった、って状態だったんですよね」
知らなかった…とこぼれたともみの言葉に、誰にも言うつもりはなかったですから、とYUMEがまた笑った。
「でもそれ以来、母が私の活躍を喜ぶことはなくなった。売れ出してからは益々心配するようになって…その心配を拒みながら活動を続けていたのに…結局、整形のせいで歌えなくなってクビになったとは言えなくて。疲れたから脱退したってごまかしてたんですね。
だから母は、マスコミの人に『娘さんはなんでアイドルを辞めたのか?』と聞かれても、本当に『疲れたみたいです』としか言えないんです。なのに、そんなわけはないとしつこく追い掛け回される。父の会社に押しかける人も出て。あの人達って本当にしつこいじゃないですか?
こっちが何も答えていないのに、メンバーにいじめられたとか、恋愛でもめたとか、薬に依存してたからそれがバレる前にクビになったんだとか。1が10になるどころか、ゼロが100になるって感じで、ウソばっかりが記事になって、世の中の人は信じてしまうから…両親にもご近所にも申し訳なくなって…海外に逃げました」
YUMEが幼い頃から姉のように慕っていた10歳年上のいとこが国際結婚をし、オーストラリアの田舎町で暮らしていた。ちょうどその頃2人目の子どもが生まれ、ベビーシッターを探しているから、家に住み込んで子どもの世話をしてくれない?と提案してくれたのだという。そしてYUMEはオーストラリアへ。2年間は住み込みで働き、3年目から1人暮らしを始めたのだと言った。
「めちゃくちゃ田舎の町だったので、日本人なんて誰もいないんですよ。だから顔バレ的な心配はなくて。レストランでサービスのアルバイトをしたりとか、時々日本語の先生したりとか。それなりに楽しく過ごせてたんですけどね」
やっぱり…ダメでした、とYUMEは目を伏せた。







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