25年に渡り、東京のレストランシーンを見続けてきた東カレが最新店を厳選。世界が誇る美食都市・東京で新たに産声を上げる次期名店を徹底取材する。
今回、取り上げるのはデートや会食におあつらえ向きな注目の7軒。早速、お気に入りの一軒を見つけよう。
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日赤通り沿いに誕生した名古屋の名焼き鳥店の実力に唸る
かぶりつくや、パリっと軽快な皮の歯触りに頬が緩み、口中に迸る肉汁に法悦となる「腿肉」。有無を言わせぬ力強い食感の中、コクのある旨みが舌に広がる「ふくらはぎ」等々。
唯一無二の焼き鳥でゲストをわし掴みにした名古屋の名店『焼鳥 空』が東京に移転。新たなスタートを切った。
場所は日赤通り。『肉匠堀越』の跡地と聞けば、思い当たるフーディも多いのでは?
そう、実はあの末富 信氏が仕掛け人。元々『焼鳥 空』のファンでもあった末富氏、ご主人・須﨑淳吏さんが東京進出を考えていると聞き、それならばとひと肌脱いだとか。
名古屋コーチンの美味しさを最大に引き出すカットと焼きに心酔する
名古屋時代のパワフルさはそのままに、やや東京風にソフィスティケートされたコースは、箸休め的な一品も交え、最後まで舌を飽きさせない。
名古屋コーチンの持ち味を最大限に活かすためのカットかつ火入れも見事だ。
「胸肉」は、しっとりと緻密な肉質とじんわりと味蕾に広がる旨みが秀逸。淡白なようでいて余韻が長い。
上に載せているのは、名古屋らしく八丁味噌。
ダイナミックにして緻密な味わいは、直球勝負。ダイレクトな美味しさだ。
田崎真也さんといえば、ワインに詳しくない人でもその名を知っているであろう日本のトップソムリエ。1995年、日本人で初めて世界最優秀ソムリエコンクールで優勝して以降、日本のワインシーンを牽引し続ける重鎮だ。
そんな田崎さんが、自身の名を冠したレストラン『Caveau SenTir Par Shinya Tasaki』をこの春、銀座に構えた。
フランス語で“ワインの貯蔵庫”を意味する「Caveau」と、“感じる”を意味する「Sentir」を組み合わせた店名には、厳選したワインを五感で楽しんでもらいたい、という思いが込められている。
田崎さんと長くタッグを組み、絶大な信頼を置くシェフの栃木良太さん、そしてソムリエの市野瀬嶺哉さんのコンビネーションは新店ながら安定感抜群。
また「東京にいるときは必ず顔を出しています」とのことで、運が良ければ田崎さんから直々にワインにまつわるエピソードを聞ける可能性も。ワインラヴァー垂涎のニューオープンだ。
煌めく海の幸には、シャンパーニュがよく似合う
「海の宝石箱」と題したコースの1品目は、実にきらびやか。
シャンパーニュで洗ったイクラの醤油漬けに黄金イクラ、からすみ、昆布とカキの出汁、あおさを合わせた「海のジュレ」と水前寺海苔、海ぶどうに金箔まであしらわれて、いやが上にも気分が高揚する。
となれば、合わせたいのはやはりシャンパーニュ。選ばれたのは「シャルドネ・バイ・シャルル・アントワーヌ 2008」。
10年以上の熟成を経た味わいは「ほのかに醤油を想起するニュアンスがあり、イクラと調和します」と田崎さん。
濃厚なフォアグラと人参の自然な甘みが好相性なひと品
フランス料理を象徴する食材のひとつであるフォアグラ。こちらでは、貴腐ワインでマリネしたフォアグラのテリーヌの天面を、ラズベリーのジュレで鏡の如く艷やかに仕上げる“ミロワール”スタイルで。
テリーヌの周囲には、それぞれ異なる調理法で仕上げた4種類の人参を美しく盛り付けている。
グラスに注がれるのは、アルザスの「ヴィルム」による「ピノ・グリ・グラン・クリュ 2018」。熟成しはじめの若いニュアンスとまろやかな甘みがあり、また土っぽさ、ミネラリーな味わいも。
それが、土の中で育つ根菜である人参の風味とリンクする。「田園」という料理名に、納得。
クラシックフレンチの韻を踏みつつ、新たな表現で魅せる
長野県のジビエ協会とのネットワークで届く鹿肉の低温ローストに、カシス風味のパウダーとガストリックを合わせた、その名も「山の恵み」。
鹿とカシスは王道の組み合わせ。さらにソースも、黒胡椒香るポワヴラードソースに赤い果実のエキスを加えた伝統的なグランヴェヌールソースだ。
ブラックペッパーの香りとリンクするのはスパイシーさを持つシラー。コート・デュ・ローヌの「コルナス 2022」が選ばれた。
ちなみにジビエのコースでは、さらに「古典の継承」と名付けられた、ジビエのブレゼやナッツのプラリネなどが層になった、ガトー仕立ての美しいひと皿も登場する。
すべて、ジビエ料理のワインペアリングコース(¥38,500)の一例で、入荷状況により変わる。
環七沿いの元クリーニング店を改装。街ゆく人が立ち寄るライトな中華
老いも若きも不思議と懐かしい、洋食屋さんの銀皿にスポットを当てた人気の池尻大橋『ザ・銀皿』。仕掛け人の小田島利成さんが2号店『ザ・青皿』を開いた。
今度は、青皿。青?現物を前にすれば一目瞭然。高台がついた八角皿に小ぶりの碗、レンゲがそろう淡い青磁は紛うことなき町中華のそれ。
この青皿にチャーハン、餃子の王道料理を堂々と盛り付けている。
大きめの焼豚がゴロッと入り、ナルトも心憎い「炒飯」¥1,100。
「イメージはあの王将さんのような、普遍的なメニューです」と小田島さんは言うが、例えば、レバニラは従来の甘辛ダレに加え、肉味噌やナンプラーも忍ばせ「細かいニュアンスも大切にして」上品な美味しさを重層的に組み立てている。
立地の若林も「飲食店の少ないニッチな街をあえて選びました。環七に面した3階建てを一棟借りているので、今後何ができるかを考えたい」とあれこれ企んでいるよう。
独自の感性でコアなファンを獲得した小田島さんの新章に期待は高まるばかりだ。
名店が手掛けるハイレベルな逸品を深夜まで楽しめる、最高の贅沢
2023年2月にオープンするや否や、たちまちミシュラン一ツ星を獲得し、その名を轟かせた『Métis六本木』。
その姉妹店となるビストロ『TORCH』が、六本木交差点と目と鼻の先でありながら、密やかな一角に誕生した。
薪焼きの名手として知られる本店のシェフ・鈴木昌嗣さんが監修しているだけに、メニューの二本柱はビストロらしいアラカルトと、銘柄牛や鮮魚を使った薪焼き料理。
薪で焼き、藁で燻した「鰹の薪藁焼き」¥1,320。
バジルのヴィネグレットとコラトゥーラの旨み、穂紫蘇の芳香と共に。
特に、黒毛和牛ならではの力強い旨みをたたえた希少部位「クリミ」の肉を細かくカットし薪火で焼くステックアッシェは必食。
みりんや酒に漬け込まれて味わいが濃厚になった卵黄を大胆に混ぜ合わせて味わいたい。
そして、〆のパスタやリゾットも、ありきたりではない個性派ぞろいだ。
店を任されたシェフの橋本一輝さんは気合十分。大人が遅くまで寛げる店が少ない今こそ、と深夜まで営業。真夜中の欲求に応えてくれる。
生い茂る緑とウッディで開放的な空間が、都心にいることを忘れさせてくれる
目黒駅から権之助坂を下り、目黒川を越えて脇道に入れば、表通りとは対照的に落ち着いた雰囲気に。
その一角、樹齢約200年のオリーブの木が迎えてくれるアプローチの奥には、前面がガラス張りの一軒家。都心にいることをひととき忘れそうになる、圧倒的なロケーションだ。
ピンチョス、タパス、パエリア……、スペインの豊かな食文化を伝える
ここ『KONEXIOA』は、美食の国・スペインの魅力を伝えるレストラン。シェフを務める八谷玲美さんは、2017年に自身が新橋に開いたスペインバル『Txiki Plaka』で人気を博したが、次なるステージとしてこの店に。
ぐっと広くなった厨房で、料理人垂涎の滋賀『サカエヤ』が手当てした牛肉、千葉「タケイファーム」から届くフレッシュな野菜などを、現地に通って感じ取ったスペイン料理に仕立てる。
“才色兼備”なピンチョスや具材の旨みが米のすみずみまで行き渡ったパエリア、身質を見極めて焼き上げた肉料理etc.に、ワインが進むこと必至だ。
「北海道産 牛サーロイン」は、『サカエヤ』の新保吉伸さんがこの店のために選んだ北里八雲牛。噛みしめるほどに赤身の濃い旨みが。
「カニのパエリア」は、蟹の甲羅にほぐした身や香味野菜をトマトソースで煮込んで詰めたバスクの郷土料理「チャングーロ」をアレンジ。
ディナーコース(¥12,000)の一例。
アラカルトより「ゆでタコとジャガイモのガリシア風」¥2,860。
ふたつの素材をオリーブオイルとパプリカパウダーでシンプルにまとめた定番料理だ。
臨場感あるカウンターで郷土料理を、という意外な組み合わせが新しい
恵比寿駅から徒歩5分圏内ながら、少しだけ渋谷寄りのエアポケットのような一角に、なんともキャッチーなイタリアン『vivido La Mia Cucina Piemontese』が誕生した。
店名の『vivido』の後ろにあるサブタイトル的なフレーズは、イタリア語で“私のピエモンテ料理”という意味。シェフを務める三輪智一さんの、いわばマニフェストのようなものだ。
三輪さんは、18歳で料理の世界に入り『Antica Braceria Bell’italia』の副料理長を経て、渡伊。北イタリア・ピエモンテ州アルバ近郊の小さな町にある一ツ星レストラン『La Ciau del Tornavento』で、1年限定と決めて修業の日々を過ごした。
アルバといえばトリュフの名産地。シーズン中は、毎日芳しい香りに包まれて働いていたという。
ピエモンテの郷土性と日本の旬が恵比寿で出合う
スペシャリテともいうべき「ウニと黒トリュフのソース 名物タヤリン」¥2,750。
ピエモンテで習得した伝統的な手打ちパスタ「タヤリン」は、トリュフの香りを添えて味わうのがお約束。
「マイワシのアンチョビ」「新玉ねぎのパンナコッタ」など、創意に満ちた品が並ぶ「vividoの前菜盛り合わせ」¥2,200。
「馬肉のタルタルとストラッチャテッラ」(¥2,420/金額は2名分・写真は1名分)は、ピエモンテ名物“カルネクルーダ”を馬肉で表現。
ピエモンテで学んだ郷土性を守りつつ、日本ならではの魚介類や野菜を巧みに合わせた料理の数々は、イタリア語で“鮮やか”という意味を持つ店名に相応しい存在感を放つ。
数々の名料理人を輩出し、洗練された居酒屋カルチャーをけん引してきた『並木橋なかむら』。その系譜を継ぐ12年ぶりの新店『溜池なかむら』が、4月21日溜池の「赤坂インターシティAIR」に誕生した。
大きなカウンターでは臨場感を、多数ある個室ではお忍び感を楽しむ
グループの集大成となるこの店では、象徴的な檜の一枚板が映えるカウンターと、広い店の奥に広がる、上質なテーブル席や個室というふたつの空間が出迎える。
「居酒屋では料理をシェアするのが当たり前ですが、自分も大人になり、少しずつ種類を多く楽しめる店が欲しくなって」と代表の中村悌二氏。
長年愛されてきた『並木橋なかむら』の料理。
その延長線上にあるメニューは、素材の質をさらに研ぎ澄まし、単品を「1人前」で供すスタイルを選んだ。
大判の肉を贅沢に。「すき焼きサーロイン一枚 鉄小鍋にて」¥2,200。
加えて、初のおまかせコースを用意したのも、溜池という地に見合う新たな試み。
凛とした空間でくつろぐ最高峰の“日常着”。そんな贅沢が許されたここは、新たな定番の始まりだ。
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