A1:仕事ができる人なのだと思った。
孝雄と出会ったのは、先輩である美香さんが連れていってくれた西麻布のバーだった。美香さんはかなり華やかな人で、昔は相当遊んでいたらしい。一緒に飲んでいると、そこに美香さんの知り合いがやってきた。それが、孝雄だった。
「タカオっち、久しぶり〜」
「おぉ。美香。久しぶりじゃん。元気だった?」
「元気だよ。タカオっち、1人?せっかくだから、一緒に飲む?」
親しげに話している二人を眺めていると、美香さんが孝雄にシャンパンをねだった。そしてそれをすんなり受け入れた孝雄。
結果、私まで“おこぼれシャンパン”が頂けることになった。
それをきっかけに孝雄と話していたのだが、孝雄はとても仕事ができて、しっかり稼いでいる経営者らしい。
「果林ちゃんはね、今ヘルスケア関連のベンチャー企業で営業をしているんだけど、すごく優秀なんだよ。タカオっち、そっち系も詳しかったよね?」
「すごいですね」
すごい人のはずなのに、孝雄はとても謙虚だ。
「いやいや、全然何も。もう半分くらい引退しているようなものだし」
「え?失礼ですが、孝雄さんって何歳なんですか?」
「僕は今44だよ」
けれども、私がお世辞を言ったのが良くなかったのかもしれない。
「お若く見えますね」
営業職のクセで、つい褒めてしまった。すると、孝雄はとても嬉しそうにこう言ってきた。
「本当に?嬉しい。よく言われるんだよね」
― そうなの?
たしかに、年齢の割には多少若くは見えると思う。健康的な肌をしているし、体も引き締まっていそうだ。でも“よく”言われるほどなのかと言われたら、わからない。たぶん、年相応。
でもこれは私が勝手に褒めたことだし、褒められたら誰でも嬉しいはず。
そしてこれが功を奏したのか、孝雄は美香さんにねだられ、「もう1本シャンパンを開ける」と言い出した。
「どうする?もう1本飲む?」
「いや、でももう既に1本空いてるので…」
そう遠慮をしたものの、孝雄はこちらに気を使わせないようにしてくれたのか、とても優しかった。
「僕はどうせ飲むから、こちらのことは気にせず。ただ、無理はしないでね」
「じゃあせっかくなので。ありがとうございます」
そしてこの夜は、三人で楽しく飲み明かした。
また連絡先も交換したので、この翌日、お礼のLINEを誠意を込めて打った。
― 果林:昨日はありがとうございました!ご馳走さまでした。孝雄さんのおかげで、とっても楽しくて、素敵な時間になりました。また、ご一緒できますと幸いです。
打った後に、「あまりにも定型文すぎたかな」とも思った。でもこれくらいでいいだろう。
そう思っていると、孝雄から食事の誘いの連絡が来た。
― Takao:良ければ、次は仕事などの話も含めて、ご飯へ行きませんか?お連れしたいお店があるので。
孝雄の仕事の話を聞いてみたい。
そう思ったので、私は快諾して、二人で食事へ行くことになった。








この記事へのコメント
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そもそも論として他に誰かいるのかとも思っていたから二人きりなのは意外だった。
🤣🤣
答え合わせとして成立しないネタ。