A2:イベントの度にたかられ、金ヅルにされそうで怖い。
忙しくて会える機会が少ないからこそ、会えた時には彼女を喜ばせてあげたいと最初は思っていた。
あれは、クリスマス前後のことだっただろうか。仕事が上手くいったので、僕は久しぶりに奮発して、とても良いヴィンテージのワインを開けた。
すると佳苗はとても喜んでくれ、最初は充足感の中で乾杯をした。
「このワイン、うまいなぁ…。やっぱり美味しいワインは違うね」
しかし、こんな単純な喜び方をしている僕の横で、佳苗はソムリエばりにワイングラスを傾け、香りを嗅ぎ、グルングルンと回している。
「綺麗なエッジ…。こんないいワインを開けてくれて、嬉しいな♡あとワインってさ…やっぱり値段に比例するよね。高価なワインだとトップに来る香りと、口に入れた瞬間の華やかさ、そして広がりが全然違うというか。こんな高いワイン開けてくれるなんて、幸太郎は本当にいい彼氏だね」
― いや、怖いよ…。グラス、回しすぎじゃね?
ワインが好きなのは結構だし、ちゃんと見て、しっかりと味わうことはいいと思う。美味しいものや店に対するリスペクトがあるのは素晴らしいことだ。
ただ佳苗は、たぶんこのワインが好きなのではない。
“高い”ワインが好きなのだ。
店選びだってそう。美味しいとかが基準ではなく、とにかく“高い”店へ行きたがる佳苗。
そしてそれは交際してから酷くなっていった。
「幸太郎、最近仕事忙しそうだね」
久しぶりに会えた時も、佳苗の頭の中は自分の誕生日のことでいっぱいだ。
「そうだね、お陰様で。出張も多いし」
「そうだよね…。でも2月は私の誕生日があるからよろしくね」
「月末だよね、覚えてるよ」
「お店の予約、ちゃんとしてる?あと、その前に一緒に銀座あたりで買い物しない?」
「いいけど。何か見たいの?」
「せっかくだからジュエリーとかがいいなと思って」
― それって…。俺に何か買えってこと?
「そっか。じゃあ銀座の方でお店探しとくね」
そう言ったものの、佳苗と一緒に銀座のジュエリーなんて見に行ったら、いくらの物を買わせられるのかわからない。
とんでもない値段の物をせがまれそうだ。
「幸太郎、バレンタインの日は忙しい?せっかくだから会いたいなと思って」
「空いているとは思うけど…何曜日だっけ?」
「今年は土曜だよ」
「あーごめん。土曜日はゴルフだ」
「え〜!バレンタインは、カップルで愛を伝え合う日なのに。海外だと男性が女性に対して食事をご馳走したり、プレゼントを贈る日なんだよ」
「出た!帰国子女!」
バレンタインだって、そう言いながらプレゼントを遠回しにねだっているだけだ。
― これって、僕が目的ではなくて、僕の先にある金が目的だよな…。
高級店も連れて行きたい時に連れて行くし、プレゼントだって、こちらがしたければする。
ただここまで露骨にねだられ、そして“お金がかかる女”だと一度悟ると、一気に冷めてしまった。
もし何か欲しい物があるなら、もう少し計算高く、可愛げを持ってねだった方がいい。露骨すぎると、プレゼントをする気も、奢る気も失せてしまうから。
― 自立した女性だと思っていたけれど…。とんでもない依存体質だな。
そう思い、僕は別れを決めた。
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男が結婚を決める瞬間とは







この記事へのコメント
確かにクレクレ女でかなりヤバいレベルだけど、断る理由もないからと付き合ったのは誰だっけ?
誕生日は有楽町のスシローにでも連れて行けば佳苗の方から去ると思う。その位する方が面白いのに。