A1:高級な物が好きだなとは感じていた。
佳苗と出会ったのは、クライアントが主催していたパーティーだった。結構な人数が集まっていたそのパーティーの中で、たまたま知り合いがおり、話していると、その人が佳苗を紹介してくれた。
すらっとしていて、綺麗な佳苗。華やかな美人で、思わず目を奪われた。
だから僕は連絡先を交換しようと試みたのだが、そもそも食事へ行きたい。ここで、僕はふと思い出した。
前に訪れた際に予約した名店の席が、たまたま空いている。これはいいチャンスだ。
「佳苗さんは、何系のお食事が好きですか?」
「私は…お鮨が好きです」
「え!来週の金曜の夜とかお忙しいですよね?前回予約していた『鮨 影山』の席があるのですが、同席予定の人が急遽出張になってしまい…。誰かいないかなと思っていたんです」
「そうなんですか?ぜひ!行きたいです」
こうしてあっという間に次のデートの日程が決まった。
そして当日、『鮨 影山』のカウンター席で、改めて二人で乾杯をする。
「幸太郎さんすごいですね♡ここのお店が取れるなんて」
「食べることが好きなんです。ここは前回連れてきてもらった際に、幸運にも次回の予約が取れて」
佳苗がキラキラとした眼差しで僕を見つめてくる。「席があって良かった」と、心底思った。
そして今日は二人きりの初デート。お互いの仕事のことなどを深掘りしていくうちに、佳苗はちゃんと自立している女性だということもわかった。
「じゃあ佳苗さんは、外資系の化粧品でマーケティングをされているんですね。すごいじゃないですか」
「いえいえ、そんなことないですよ。仕事内容は結構地味だったりしますし…。でも、仕事は楽しいですね」
「接待とかも多いんですか?」
「いえ、そんなに」
「そうなんですね。お店とかワインとかにお詳しいから、てっきり会食も多いのかと」
話しているうちに感じたのだが、佳苗は、良い店やお酒に詳しい。仕事柄かと思ったけれど、プライベートでもよく行っているらしい。
「お店やワインを勉強しておくことって…ある意味大人のマナーだと思うんです。どこに連れていってもらっても、恥ずかしくない女性になりたいなと思っていて」
「素晴らしいですね。佳苗さんって、いいですね。大人の女性の余裕があって」
「そうですか?付き合うとワガママになるかもですよ」
「えー!想像できない」
36歳という年齢以上に、落ち着いて見える。しっかりしているし、上品な人だな、という印象が強く残る。
鮨を食べながら、豊かな時間が流れていく。
そしてお会計になった時。僕がもちろん支払うつもりだったれど、佳苗は大袈裟なくらいに喜んでくれた。
「ここは僕が」
「え?でも…」
「今日は僕がお誘いしたので」
「ありがとうございます!」
この初デートで、僕は佳苗を「自立した、食とかワインに詳しい大人の女性」だと認識した。
しかしこの認識が、後々崩れていくことになる。いや、間違ってはいないのだけれど、色々と違う方向へ転がっていく。
そして二度目のデートで佳苗の方から「付き合ってほしい」と言われ、断る理由もなかったので、僕たちは交際することになった。
仕事が忙しくてなかなか会えなくても、佳苗は何も言ってこない。それは本当に助かったし、適度な距離感が心地良かった。
しかし会うたびに、僕の中で「ん?」と思うことが増えていった…。







この記事へのコメント
確かにクレクレ女でかなりヤバいレベルだけど、断る理由もないからと付き合ったのは誰だっけ?
誕生日は有楽町のスシローにでも連れて行けば佳苗の方から去ると思う。その位する方が面白いのに。