令和の麻布ってどうなってる?作家・麻布競馬場と考えた、麻布のエリア別「生態系」マップ

ここまで“食”にフォーカスして麻布を見てきたが、ここでは人やカルチャーから街の個性を導き出す。

共に考えてくれたのは、おなじみの麻布競馬場さん。作家として、港区のフィールドワーカーとして、日夜“麻布”を闊歩している彼の目に映る、麻布のエリアごとの“生態系”とは?



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一緒に考えてくれたのは……


麻布競馬場

1991年生まれ。SNSに投稿した文章が話題を呼び、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』(集英社)で小説家デビュー。当時、麻布十番在住のため、この名前に。2作目『令和元年の人生ゲーム』(文藝春秋)は直木賞候補に。
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上質さと品格が突出した日本随一のハイソなエリア


麻布といえば、インターナショナルで閑静な高級住宅街。街にはタワマンや低層マンション、目を見張るほどの豪邸が軒を連ねる。

なじみのない人から見ると、どこも似たような“金持ちの街”かもしれないが、解像度を上げるほど、エリアごとの個性はさまざまだ。

「麻布って他の繁華街と比べて、住人が多いエリアです。遊びに来る人よりも生活者のための街。だから、どの街にも個性があって、集う人にも違いがあるんですよね」

【麻布台】麻布水準がサラリと叶う新興勢力が暮らすニュータウン

2023年に開業した「麻布台ヒルズ」により、印象が変わった街。賑わいも落ち着き、地域住民の憩いの場に。多数のタワマンができ、エリートビジネスパーソンや若き経営者ファミリーが住人に。

「彼らを支える『麻布台ヒルズ マーケット』が象徴。高品質な食材やデリにワインがそろい、生活を支えています。『麻布台 やまゆき鮮魚店』の手巻きセットは一躍スターダムにのし上がりましたね」

レストランを見れば「予約困難店もありますが、どこも箱全体が大きいので“割と入れる安心感”あり。セレブな奥様方が集う“港区のファミレス”になりつつあります」。

【東麻布】渋さ漂い、ピースな空気。“孤独のグルメ”なオジが忍ぶ街

気鋭な和食店などが次々にオープンしている東麻布。この街は「生活感と浮世離れ感のちょうどいいバランス感があり、いい意味で一番枯れている」と評す。

チャラさもなく、高級住宅も少ないため、平均的なビジネスパーソンも多数在住。昔ながらの住宅が多く、商店街もあるため、下町風情もある。平日の飯倉公園は子どもの姿も多く、麻布らしからぬ牧歌的なシーンが見られる。

「麻布の中で一番“生活の匂いがする”エリアですよね。麻布の中でもこのエリアのお店にデートに連れ出す人って、分かってるなって感じでセンスがいいなって思います」

【麻布十番】麻布の下町は、地元民とエリートビジネスパーソンが肩寄せ合う

東麻布同様に下町感が強いのが麻布十番。夏の「麻布十番納涼まつり」は商店街が先導しており、店同士の横の繋がりも強固。

麻布台、虎ノ門エリアが勃興したことで、そこに勤めるビジネスパーソンが増えた他、引き続き芸能人や有名インフルエンサーの目撃談も多いここ数年は“おばんざいスナック”や“人気のバー”などで話題をさらったが「2025年は静かな年だった」と麻布競馬場さん。

一方で「ランチで人気の和食店『たき下』さんに夜、初めて行ったのですが、実にハイレベル。こういう店が普通にあるのが十番の強みだと再認識しました」。

【西麻布】令和の西麻布では、穏やかなおじさんが羽を伸ばす

予約困難店も多く、美食をうたう通りも多数。そんな西麻布だが、バブルのやんちゃさやIT社長のオラオラ感が消え、「ギラギラした社長が西麻布からいなくなった」という。

彼らの主戦場は池尻界隈に移り、西麻布はいま「いい意味で、おじさんの楽園になっている」という。

元々、力のあるレストランが多いエリアだったこともあり、遊び尽くした大人には格好の場。ひとりでカウンターでワイン片手に隣の人と談笑。そんなシーンが日常と化している。

「狂乱の時代は終わり、西麻布は誰かの穏やかな日常の一部になりました」

【元麻布・南麻布】知識と教養と成功と品格が求められるキングオブ麻布の一等地エリア

「圧倒的な王者感がある」と麻布競馬場さんもたじろぐのが元麻布・南麻布。居住者も多く、外国人が多数住むエリアでもある。他の麻布エリアとは“別の勢力圏”といい、真の成功者でないとたどり着けない地だ。

象徴的な「元麻布ヒルズ」や、驚くほどの豪邸が立ち並ぶ南麻布など、目まいがするほどお金の匂いがする。

レストランに関しても「圧倒的な領収書族の多さと、開かれた会員制感があります。僕の周りでは、スタートアップで大きく成功を遂げた社長が選ぶ街でもあります。朝から美味しいモーニングを出す店があったり、何より近くに『慶應義塾幼稚舎』があったりと、セクシーも突き抜けると“健康”にたどり着くんだと納得しました」。



どのエリアにも共通するのは着飾るよりも、サンダル履きスタンスで、ラフだけど衣食住はとことん上質なこと。

そんな麻布の日常が一番垣間見えるのが各所にあるスーパーだという。麻布台『麻布台ヒルズ マーケット』や東麻布『日進ワールドデリカテッセン』、南麻布『ナショナル麻布』などなど。

「地方のスーパーに行くと、土地の個性が見えますよね。麻布も同じで、とことん外国人向けだったり、普通に高級食材が並んでいたり。全国的に見たら、こんな街もそうありません」

麻布にいる人々やハイソな空気感は随一。ぜひ一度訪れて、その空気感を体感してほしい。

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