A2:独りよがりのお喋りがキツいなと思った。
二度目のデートは、たまに行く、池尻大橋にある『OMA』にした。料理はもちろんのこと。雰囲気もかしこまり過ぎず、カジュアル過ぎず。二度目のデートにちょうど良い感じだ。
でも、このデートで僕は色々と悟ることになる。
「ここ来たことあった?」
最初は、何も感じていなかった。
「うん、何度か。来ている人たちも池尻大橋っぽくて、いいよね」
「池尻大橋っぽい?」
しかしこの短い質問に対して、茉莉花は雪崩のように一気に話し始めた。
「そうそう。若手クリエーターとか、それこそ健太郎くんのような建築系?とか。才能溢れる若い世代の人たちが集うって感じ。私の友達のスタイリストとか、アーティストの子とか…。最近流行りの歌手の子も友達にいるんだけど、この界隈に住んでいる人が多いんだよね」
しかも、よく話すだけではない。
若干面倒な、「〇〇さん知ってる」とか「芸能人と友達」アピールまで入ってきた。
― あれ?この子ってこういう感じか。
そして茉莉花のトーク・アタックは止まらない。
「茉莉花ちゃん、顔広そうだもんね」
「どうだろう。昔からよく飲み歩いていたら、いつの間にか友達が増えていった…って感じかな。健太郎くんは?」
「俺はむしろ家でのんびり、一人で過ごす時間とかも好きだから、逆に友達は最低限って感じかな」
「わかるわ〜。健太郎くん、絶対そっちのタイプだよね」
そして、今日も反応が大きい。
反応が大きいのは嬉しいけれど、「本当か?」となるし、段々とそのオーバーリアクションの相手をするのも疲れてきた。
「あ〜本当に美味しい♡ここ、お料理もお酒も最高だね。素敵なお店を選んでくれて、ありがとう。さすが健太郎くん、お店選びのセンスまでいいんだね」
たしかにこの店は、料理もお酒も美味しい。
それに僕自身のことまで褒めてくれている。それは素直に「ありがとう」と言った方がいいのだろう。
― でもなんか…。
悪いことを言っているわけではないけれど、どうにも拭えない違和感ばかりが広がっていく。
「お店だけじゃなくて、僕まで褒めてくれるの?」
「もちろんです!だって、本当に最高だから」
「茉莉花ちゃんって、明るいよね」
「そう?嬉しい」
「あと茉莉花ちゃん、若いよね」
「え?そう?」
会話を盛り上げようとしてくれるのは有り難いけれど、どうも盛り上がらない。
「でも私たち、ほぼ同じ年じゃない?」
「そっか。見た目が若いからかな」
たしか茉莉花は僕と1歳しか変わらなかったはず。だから33歳だったと記憶しているけれど、もう少し落ち着いても良いのではないかと思う。
「え〜嬉しい。でも私、NO 美容医療なんだ。周りのみんなは韓国へ行ったり、ボトックスとかヒアルとか色々とやっているみたいだけど、本当に私は何もしていなくて」
「へ〜すごいね。可愛いもんね、茉莉花ちゃん」
「本当に?嬉しい!ありがとう」
そして何より、会話が面白くない。
美容医療をしていないことは、自慢になるのだろうか。よくわからない。
でも何度も言うけれど、別に人の悪口や愚痴を言っているわけではない。
ただただ、ずっと茉莉花のお喋りに付き合うのがしんどいだけだ。
― うーん。どうなんだろう。
暗すぎるのもダメだけれど、一人でずっと喋るような子も微妙だ。たまに会うくらいだったら良いけれど、もしこの先付き合って、結婚して…そんなことも想像できないし、一緒に暮らすなどとなったら、疲れ果てると思う。
完全にダメ、というわけではない。しかしこちらが元気な時や気持ちにゆとりがあって、ゆっくり話を聞いてあげられるほど余裕がない時以外はキツい。
だから僕は、何となくずっと会うのを避けている。
▶【Q】はこちら:デートの雰囲気はよかったのに…。33歳女が、たった2回で男にフェードアウトされた理由とは
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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悲しき男の勘違い







この記事へのコメント
はっきり言えばそうなんでしょ。
まぁやかましい女は勘弁だけど健太郎も性格悪い。
恋愛の鉄則は「明るさ」だと勘違いしてた茉莉花もおバカさん。
男子にやれヒアルロン酸だのボトックスだの言った所で詳しくわからない。もっとお互いの頃を知るための会話をした方がいい。これは健太郎にも責任がある。