Q2:忘年会で、毎晩帰宅が遅くなるのが許せなかった?
毎年、この季節になると若干憂うつになる。昔より減ったとはいえ、年末年始は忘年会に新年会…とイベントが続くからだ。
しかもそこにクリスマスも加わるため、一応奈津美のケアもしなくてはならない。
「今年も忙しそうだな…せめてクリスマスは11月とかにしてくれたらいいのに」
スマホに入っているカレンダーを見ながら、僕は思わずため息をつく。すると、隣にいた奈津美がひょこっと、画面を覗いてきた。
「今年も、飲みが続くの?遅い?」
「うん、遅くなると思う」
「多少断って、早く帰ってくればいいのに…」
「それができたらいいけどさ…僕が断ることができない性格なのは、奈津美が一番知ってるでしょ?」
「そうだね」
加えて、僕は飲むことが好きだった。お酒も好きだけれど、“誰かと一緒に飲む”空間が純粋に好きだ。
だから「忘年会で忙しい」なんて言っているけれど、嬉しい悲鳴でもある。
しかし、奈津美からすると違うらしい。
想像通り、師走らしい忙しさに追われた12月。
連日の飲み会に、ちょうど仕事もプロジェクトが入り、忙しくしていた。
「奈津美、ごめんね。あんまり構ってあげられなくて」
「それはいいよ。ところで、涼。年始はどうする?」
「あー…どうしようかな」
「私の家で、おせち食べる?」
実は前から、調布にある奈津美の実家にお正月に呼ばれていた。
でもまだ挨拶へ行くのは早い気がする。何よりもまだ結婚も婚約もしていないよくわからない娘の彼氏が、急に元旦におせちだけを食べに行くのは、奈津美の両親に失礼な気がする。
「いや、でもやっぱりいいや。迷惑だと思うし」
「迷惑ってことはないと思うけど。私は帰るし、おせちは誰が来ても来なくても作るみたいだし」
「奈津美は行くんでしょ?せっかくだから、実家でゆっくりしてきなよ」
「涼はどうするの?」
「うーん。一旦、実家に顔出そうかな」
僕の実家も都内にあるから、結構な頻度で行っている。だからわざわざお正月に会う必要性は低いけれど、親孝行も兼ねて、一応顔を出しておこうと思う。
「私も一緒に行こうか?ご挨拶もしたいし」
「いや、いいよ。奈津美は自分の実家で楽しんできて」
こんな会話をしたのが、最後だったかもしれない。
ここから、最終週は連日忘年会が入り、24時以降の帰宅が続いてしまった僕。すると12月最後の金曜日、ドアを開けると奈津美が泣いていた。
「え?どうしたの?」
「ごめん。もう限界」
「え?そんな夜遅いのが嫌だった?ごめんって」
「もういい」
結局ここから、奈津美の心が僕に戻ってくることはなかった。
どうして、こうなってしまったのか。そもそも、僕はどんなに夜遅くても、ちゃんと帰宅している。浮気だってしていない。
どうして最終的に、愛想を尽かされたのだろうか…?
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女が別れを決めた理由は?








この記事へのコメント
先に寝ちゃえばいいのに。 その件よりも、まだまだ結婚する気は三年位ないと言われたなら限界まで我慢するのではなく年齢の事を考えて別れを決意する方が。
3年後と言われながら結婚の圧力かけたり無理に親に合わせようするのはちょっと.... 更に、なかなか結婚してくれない件と忘年会で帰宅24時過ぎる件は別。アンサー読む前から奈津美の言い分が薄っぺらくて矛盾してるだろう事は明らか。
どうして付き合ったんだろう、涼は。