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ニューヨーク恋愛物語~商社マン遥斗の場合~ Vol.9

「好きだけど、なんか合わない」バリキャリ女子と付き合って半年、28歳商社マンが感じた違和感とは

遥斗の部屋で、抱き合ってマンハッタンの夜景を眺めるだけで、すべてが満たされた気持ちになる。

「大好きだよ」と遥斗が言うと、頬を紅潮させて「I love you, too」と答える莉乃が、この世のものと思えないほど美しい。


小さなずれなど取るに足らない、そう自分に言い聞かせた。

しかし、その小さなずれは、知らぬうちにどんどんと大きくなっていた。

「ねえ、遥斗。今『Refinery Rooftop』のバーにいるんだけど、来ない?」

金曜日の夜、たまたま早く仕事が終わり、莉乃と会うことになった。

久しぶりに会える嬉しさを抱えて待ち合わせ場所に到着すると、十数人の若い男女の集まりの中に莉乃がいた。

すでに何杯か飲んだ後のようで、みんなテンションが高い。莉乃は遥斗を見つけるなり、抱きついた。

「この人が遥斗。私が今付き合ってる人。こっちは大学の友達(Hey guys, this is Haruto. We've been seeing each other for a bit. Haruto, they are my friends from college.)」

みんなが「Hi」と言うなか、一人の男性が言った。

「莉乃、男の趣味変わった?」

冗談を言ったつもりなのだろうが、遥斗はイラッとした。

けれど初めが肝心だと「莉乃の好みを変えるくらい俺には魅力があるんだ」と冗談を返そうした時…。

莉乃が「あんたこそ、女の趣味を変えないとまた二股されて泣くわよ」と皮肉を言い、笑いをかっさらった。

遥斗の出る幕もなく、そのままみんなは大学時代の内輪ネタで盛り上がる。

内容もだが、ネイティブ同士の会話の速さについていけず、遥斗は愛想笑いを浮かべるしかなかった。

そんなことが何度か続き、せっかく会えると思っても、友達との集まりの中に呼ばれ、遥斗のわからない会話やノリが多く、楽しくなかった。

ある日、また莉乃の友人たちの集まりに呼ばれ、遥斗が正直に言った。

「俺は莉乃ともっと二人で会いたい。莉乃がみんなと会うのはいいけど、俺はそんなに頻繁には行きたくないんだ」

「遥斗にも私の友人たちと仲良くしてほしいの。逆に遥斗は、私を全然友達に紹介してくれないじゃない。なんか、真剣に思ってもらえていないみたいに感じる」

莉乃からすれば、友人に紹介することが彼女として認められることだと言う。

「真剣に思ってるよ。でも、こっちにすごく仲良くしている友達もいないし…」

「今度、会社でバーベキューがあるって言ってたじゃない。そこに連れて行ってよ」

「いや、それは…」と遥斗は濁す。婚約者ならまだしも、彼女を会社の集まりに連れて行く文化はない。

会社の人も気を使うだろうしと考えて断ると、莉乃は拗ねてしまった。

そこから二人の関係はギクシャクしたまま二週間が経った時、急に莉乃からレストランに呼ばれた。

久しぶりに会うので少し緊張して行くと、すでに莉乃が座っている。そして注文するのを待たずに、嬉しそうに口を開いた。


「私、ロンドン転勤が決まったの。多分3ヶ月後には行くと思う」

内心「えっ」と思うが、莉乃のワクワクとした表情を見て「おめでとう」と絞り出す。

「それで、わたしたちのことなんだけど…遥斗はこれからどうしたい?」

遥斗のニューヨーク転勤が決まった時と同じセリフ。今度は聞く側になるなんて、思ってもいなかった。

テーブルの向こうに座る莉乃が、あの時の遥斗と重なって見えた。


▶前回:「家、行ってもいい?」デート中に女性からの思わぬ一言。嬉しいはずの彼が戸惑った理由

▶1話目はこちら:「あなたとは結婚できない」将来有望な28歳商社マンのプロポーズを、バッサリと断った彼女の本音とは?

▶︎NEXT:1月7日 水曜更新予定
最終回:最後に遥斗と莉乃が出した結論とは…?

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この記事へのコメント

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No Name
別れるの一択しかない😂 とっととロンドン行っちまえ〜  でも次回が最終回って、なんだろう不完全燃焼感....もう少し深い話になれば良かっただけに残念。
2025/12/31 05:1512
No Name
仕事に対する指図とか上から目線の物言いは止めた方がいい。それは文化の違い云々ではない。莉乃の、たかだか在住10年で完全にアメリカに染まった?!既に自分はアメリカ人のごとく遥斗をおちょくる感じが無理過ぎる。 来週、莉乃と別れ土壇場で知り合った女子との話で終わればいいが。
2025/12/31 06:328Comment Icon1
No Name
合わない2人の話を読まされてたのね
2025/12/31 06:505
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ニューヨーク恋愛物語~商社マン遥斗の場合~

ニューヨーク。
眠らない街で、スマホを片手に恋を探す男がいた。

日本でも海外でも主流となったマッチングアプリはもちろん、最近流行っている「リアル」な出会いイベントにも顔を出す。

成瀬遥斗、28歳。総合商社勤務6年目。ニューヨーク駐在中。

その肩書もあって、マッチングアプリを開けば、メッセージは山のように届く。
しかし、出会いは星の数ほどあるが、本当に心を許せる“誰か”には、なかなか出会えない。

成功や出会いが次々と生まれるニューヨークで、遥斗の恋人探しの旅が始まる。

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