A1:自由が好きで、縛られたくない。
裕也と出会ったのは、彼が行きつけのバーに私が訪れたことがきっかけだった。
当時私も裕也も結構飲み歩いていたと思う。初対面の印象は、「カッコいいけどチャラそうだな」。
でもそんな第一印象とは裏腹に、何度か会っているうちに、彼は結構真面目で気が合うことがわかり、交際に発展していた。
裕也と私は好きなことが似ており、一緒にいて楽だった。何より楽しくて、一緒に過ごせば過ごすほど、裕也のことが大好きになっていった。
だから彼の夢を応援したし、支えてあげたいとも思っていた。
交際した当初、裕也は有名な建築家の事務所で働いていたけれど、ちょうど転職をしたいタイミングだったらしく、私なりに励まし続けた。
「裕也くんなら、大丈夫」
そう言うと、とても嬉しそうな顔をした裕也。
「葵、ありがとう。この転職がうまくいったら、もう少し落ち着いた生活ができると思うから」
この言葉を、私は過信してしまったのだろうか。
「うん、頑張って。信じてる。それに何かあっても、私がいるから大丈夫だよ。最悪、私が食べさせてあげるよ」
私は看護師なので、一応手に職はある。
31歳の私と30歳の裕也、年齢的にもこのままうまくいけば、自然に結婚すると思っていた。
結局、転職活動がうまくいき、裕也は三軒茶屋の家より少し広い目黒の家へ引っ越しをすることになった。
このタイミングで私も彼の家へ泊まる頻度が一気に高くなり、半同棲状態になっていた。
行くたびに荷物を彼の部屋に置いてきたりしていたけど、それでも時々家に帰る私を不憫に思ったのか、裕也がある日こんなことを提案してきた。
「葵、いっそのこと、ここで一緒に住まない?」
大好きな彼と一緒に住みたかったから、このオファーは正直とても嬉しかった。
でも「結婚前に同棲をすると、うまくいかない」とはよく聞く話。
それに中途半端に同棲したら、結婚が遠のきそうだ。だから心を鬼にして、私は自分の家は残しておく、という選択をした。
「でも一応、自分の家は残しておこうかなと思って。職場もあっち側にあるし」
「そっか。葵のそういうところ、好きだよ。お互いのプライバシーを尊重できる関係っていいよね」
この時、私が同棲に対して「YES」と言っておけば良かったのだろうか。それとも、“プライバシー尊重”をもう少し追求すれば良かったのだろうか。
結局私たちは半同棲状態のまま一年、また一年…となんとなく時を過ごしてしまった。







この記事へのコメント
ちょっと何に対して言ってるのか分からない。別れる最大の理由は結婚する気も無いし子供も要らない事でしょう。